先日、訪問で作業療法を受けているAさんのご自宅に訪問した時に、『おせち料理』の話がありました。
そのAさんのお母さんは毎年この時期くらいからおせち料理の具材を考え始めるそうで、Aさん自身も毎年どんな『おせち料理』が出るのか楽しみにしているそうです。
Aさんは右半身にマヒがあるため、左手のみを使われますが、今年は作業療法でもある『調理訓練』をする予定にしていて、いつもはお母さんに任せている『おせち料理』のうち一品でも多く自分で作りたと言われています。
そんなAさんと話をしているうちに
「私以外の人たちはどんな内容の具材が好きなのかな?」
という質問がありましたので、ちょっと調べてみようと思いました。
ちなみに、Aさんが好きな具材は、
1位 栗きんとん
2位 黒豆
3位 海老
4位 ローストビーフ
5位 昆布巻き
でした。
ローストビーフ以外は、昔から親しまれている食材ですね。
では、他の人たちはどうなのでしょうか。
今回もランキング形式でお伝えします。
なお、ランキングは以下の4つのランキングと私が訪問で伺っている利用者さん達の声をもとにしています。
(ランキング参照:gooランキング、マイナビニュース(男性編)、マイナビニュース(女性編)、ニュースサイトしらべぇSIRABEE)
目次
『おせち料理』の好きな具材
1位 栗きんとん
いずれの年代からも幅広い支持がありました。
栗きんとんは『きんとん=金団』とも言われ、金の団子もしくは金の布団という意味で
商売繁盛・金運・財運をもたらす
縁起の良い食材としておせち料理の定番として欠かせないものです。
サツマイモをゆでて、裏ごしをして鍋に移し、水と砂糖を煮詰めて餡(あん)を作って、これに栗を加えて時間をかけて柔らかく粘り気が出るまで煮込むことでできます。
訪問での作業療法での料理の練習の時間に、患者さんが作ってくださったことがあって、甘くて美味しくいただいたこともあります。
栗きんとんの作り方
2位 伊達巻き
栗きんとんには及びませんでしたが、いずれの年代でも人気がありました。
伊達巻(だてまき)は形が巻物に似ていることから
『頭が良くなる』『知恵がつく』
と考えられていて、今年1年しっかりと頭を働かせようという願いが込められています。
伊達巻は白身魚や海老のすり身に溶き卵と出汁を加えてしっかり混ぜ、みりんや砂糖で味を整えて焼き上げて、そのまま熱いうちに巻き簾(まきす)という巻き寿司などを作る道具で巻いて形を整えて作ります。
白身魚や海老のすり身の代わりにはんぺんを使うことも多いようです。
伊達巻の作り方
3位 黒豆
Aさんも好きだと答えた黒豆が3位にランクインしました。
黒豆は、その色や照りから、
悪い気を追い出して日焼けをするほどマメに働けるように
との願いが込められています。
また体が丈夫なことを『まめ』と呼ぶことから、
健康への願い
も込められています。おせち料理には必ず入ってくる定番の具材ですね。
黒豆を優しく洗い、黒豆に水をしみ込ませ、十分にしみ込んだら熱を加えて沸騰したら、砂糖・しょうゆ・塩(少々)・さびた釘(←鉄鍋で調理するならば必要ないです)を加えて落としぶたををして弱火でコトコト煮込み、豆が出てくるくらいまで水が蒸発したら火を止めて1日置いて味を染み込ませます。
患者さんの家に訪問した時に、初めて黒豆を作るところを見学させてもらった時に「さびた釘」がないかを頼まれたことがあります。
料理に使うと聞いて驚いたのですが、黒豆のあの鮮やかな黒色を出すために欠かせないそうでした(私が知らなかっただけでしたが ^^;)。
黒豆の作り方
第4位 数の子
黒豆とほぼ同じくらい人気があり、どの年代でも人気がありました。
でも実は、数の子を苦手だと答える人も多く
「あの歯応えが苦手」
「食べにくい」
「味がしない」
という意見もありました。
それでもおせち料理の定番として、今でも愛されている具材です。
数の子は、卵の数が多いことから、
子供や孫の世代以降もずっと栄えることを願う『子孫繁栄』や
子供が授かるという『子宝成就』
をもたらす縁起の良い食材とされています。
数の子はたっぷりの水に1日程度つけて塩を抜き、その後、薄い皮を取り除きます。出汁・しょうゆ・お酒・みりん(少々)をあわせた煮込み汁を一度コトコト煮込んで温め、それから火を止めて煮込み汁をしっかり冷ましてから数の子を入れて1日ほど味をなじませれば出来上がりです。
ただ、最近は数の子の値段が上がってきているので、Aさんのお母さんからは、1から全て手作りすることは難しくなっていると聞きました。
数の子の作り方
第5位 海老(えび)
定番の具材なのですが、海老が苦手な人もいるようで、5位という位置になりました。
海老は長いヒゲや体の曲がった様子がお年寄りに例えられて
長生きすなわち長寿
をあらわすものとされています。
1年間を健康で過ごし、
腰が曲がるまで長生きできますように
との願いが込められています。
海老は基本的には頭がついているものを選び、しょうゆ・みりん・お酒・だし汁で作った煮汁を温め、下処理をした海老を入れて5分程度(小さい海老なら3分程度)火にかけ、その後は火から離して常温で冷やし、さらに冷蔵庫で1日以上漬けてしっかり味を染み込ませます。
海老も色々な種類があるようで、おせち料理によっては伊勢海老とかを入れているのもあります。伊勢海老にまでなるととても見栄えが華やかになりますね。
海老の作り方
6位 かまぼこ
紅白をあしらったかまぼこが6位になりました。
紅白のかまぼこは
『赤は魔除』
『白は清らかに』
を意味していて、紅白そのものがもともと縁起が良かったことから昔から好きな具材として用いられています。
以前、訪問に行っていた利用者さんのお宅では、タラという魚をすり身にして、裏ごししてさらにすり鉢ですり(ここで白い部分になる材料と赤い部分になる材料を分ける)、食紅という食べられる赤い色の材料を裏ごしした身とよく混ぜて、白い身と赤い身をあわせて形を整えて、室温で1時間、弱火で蒸して20分、氷水に入れて5分程度で完成させていました。
作っていると「手にベタベタとよくつくんです」と苦笑いされていたのを覚えています。
今は市販のかまぼこをおせち料理で食べることがほとんどですが、飾り切り(包丁で飾りの切れ目を入れる)をすることで、少し遊び心も出して、目でも楽しむことのできる具材になります。
いろいろな形の細工かまぼこの作り方
7位 昆布巻き
昆布巻きもおせちの定番で、
『こぶ=昆布』は『よろこぶ』
に通じて
いつも笑顔で過ごせる
という願いが込められています。
材料は、昆布、にしん(無ければ鮭など)の切り身、かんぴょう、しょうゆ・砂糖・みりん・お酒・水を使います。かんぴょうと昆布を水でもどし、にしんなどの魚類は骨やウロコなどを取り除いて昆布の幅に切ります。戻した昆布を適当な長さに揃えてにしんなどの魚を巻いてかんぴょうをヒモのようにして結び、火にかけます。火加減の調整をしながら、砂糖とみりんを加え、煮汁が昆布巻きの高さよりも下になったら落としぶたをして火を止めて、常温まで冷まします。冷ました後、もう一度火にかけて残りの煮汁が昆布の高さの1/4まで煮詰まったら出来上がりです。
昆布とにしんなどの魚が一緒に口に入った時はとても甘くて美味しくなっていますよね。
昆布巻きの作り方
まとめ
いかがでしたでしょうか。
最近では手作りのおせち料理も減ってきて、百貨店、通信販売、和食料理屋、大手流通施設、コンビニなどでおせち料理を頼んで食べられることが増えてきているようですが、皆さんは今回ご紹介したおせちの具材の中でお好きなものはありましたでしょうか。
最後までブログを読んでくださり、ありがとうございます!
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栗きんとんが1位とは。。。
料理人として、、目から鱗でした。。。笑
井手さんコメントありがとうございます。
そうなんです、栗きんとんが一位だったのです♪
若い年代の方も「あの甘いの」としてお好きだったのと、年配の方からの支持が多かったですね。
またお気軽にコメントいただけますとありがたいです♪
拝読させていただきました!
丁度1年前の記事なんですね。
もう年末年始の準備をする時期なんですね。のんびり考えてると、あっという間に訳が分からないうちにタイムリミットになりそうなので気を付けたいと思います。
(僕も栗きんとん推しです。)