前回のブログではゴルフの基本の『構え』から学んだ日頃の心の持ち方についてのお話をしました。<義足でゴルフ上達の道〜基本の『構え』を身につける〜>
基本の『構え』と聞くと、なんだか難しいと思うかもしれないけれど、スポーツや習い事を始めた時に、最初に学ぶ『基礎』とか『型』と同じようなものだと思えば、イメージしやすいのではないでしょうか?
もっと身近なところで言うと、『箸の持ち方』とか『鉛筆の持ち方』とかだとどうでしょう。
きちんと持てないと、長く使えない(手が疲れてしまうなど)ですよね。
そうやって身につけた基本の『構え』をでは実際にどのように使うのか。
今日はその『構え』を実際に使うためには、体の使い方の中心となる『軸』が絶対に必要だというお話をした上で、『軸』を持つという考え方は、自分の生活にも役立つことをお伝えしたいと思います。
目次
『軸』を持ってゴルフをするとは?
まずはこちらをご覧ください。
英語が理解できなくても彼のプレーをそのまま見てください。
このかたは、Shane Lukeさんというオーストラリアの方で私と同じく右大腿切断ですが、2004年の『オーストラリア切断者ゴルフ大会』で優勝し、以後、8年連続で優勝しているプレーヤーです。
ちなみに私はこのかたとほぼ同じタイプの『オットーボック社製のC-Leg4』(ShaneさんはC-Leg3)を使用しています<コンピューター制御膝継手 C-Leg4>
動画を見てどうでしょうか?
明らかに左足を『軸』にしてゴルフクラブを振っていますよね。
最近ではタイガーウッズ、松山英樹といったトッププロも、左右両方の足に体重を乗せるのではなく、左(もしくは右)の一軸を中心にゴルフクラブを振っています(完全な一軸ではありませんが)。
そのくらい、一軸を中心としたゴルフはトッププロも認める振り方なのです。
でも、義足になってゴルフを再開した頃の私は、基本の『構え』にこだわりすぎていて、それはもう、今になっては恥ずかしい事ばかりでした。
義足になってゴルフを再開してみた
ゴルフを再開するきっかけになったのは、作業療法士となって最初に勤めた病院で月に1回のゴルフコンペ(競技)があったことです。
「川本くん、君はゴルフしないのかい?コンペで使っているゴルフ場はカートの乗り入れができるから、君でもできるんじゃないか?」
と、当時の病院長から言われて嫌ですとも言えず、(渋々)参加するように決めました。
決めたのは良いけれど、ゴルフ道具がない。
私は中古ショップでまとめ売りをしているゴルフ道具を買い、すぐ練習場に行きました。
中学時代のおぼろげな記憶を元に、打ちっぱなしでまず練習を始めたのはいいけれど、何度もあの時練習した『30ヤードショット』をしてみても、
「なんか勝手が違う・・・」
必死に思い出しながら、振ってはみるけど、思うところに全く飛ばない。
「これは道具がいけないのかな」
と思い、当時は『道具が悪い』としていました。
M先生に練習場にで教えてもらったこと
ある日、コンペで同席する医師のM先生と一緒に練習場に行きました。
M先生はプロ並みの成績で18ホールをまわるほどの腕前で、練習場でも常に正確なショットを打っていました。
「先生、私、昔ゴルフやってたんですけど、今改めて練習場で打ってみても、思うように飛ばないんです」
と聞いてみました。
「ちょっと打ってみて」
と言われ、言われるまま何球かボールを打っていたら、
「川本くん、君はどちらの足に『軸』を置いてる?」
と言われました。
「え?両方ですけど?」
と私が答えると、
「うーん・・・それだと『軸』がブレてるよ。僕は義足のことはよく分からないんだけど、君、右足が義足でどのくらい、かがんだ姿勢を保てる?」
と言われました。
言われてみると、義足である右足の膝は反対の左足の膝と比べても少し曲げた状態を維持するのは難しい状態でした。
そのため、少し腰を落とした状態で構えることができても、クラブを振る時にはどうしても左右に体重が移動していたのです。
「ゴルフは基本の『構え』が大切で、その『構え』に基づいてスイングをすべきと思っていました。最近読んだゴルフ雑誌にも同じことが書いてあったので」
と私が伝えると、
「だったら、左足を『軸』にして、それで『構え』の基本を作ってみたらどう?」
「あっ!そうか!」
まさにひらめいた瞬間です!
私はずっと基本の『構え』にこだわっていて、『構え』から動作にうつるときに重要になる『軸』のことを全く考えていませんでした。
左足を『軸』にしたスイング練習
早速、左足を『軸』にしたスイングを取り入れての練習をしました。
義足側の右足を少し後ろに引いて、左足を『軸』にして、ほぼ左足に体重を乗せて振ってみる。
最初はやっぱり慣れなかったけれど、徐々に要領がつかめ、少しずつ思うようにボールが飛ぶようになってきました。
何度目かの練習をご一緒した後、M先生から
「結局さ、体の仕組みが変わったんなら、まず中心となる『軸』を作って、そこからまた基礎を作ればいいんだろうよ。少なくとも道具のせいじゃないよ(笑)」
と言われました。
自分がこだわって考えていた
『構え』は体の中心となる『軸』があってはじめて役に立つもの
であり、
『軸』を中心とした柔軟な発想が新たな基礎を作ることを教えてもらったように
思います。
それはこの後、実際にゴルフコースに出てみて改めて体感できたことにも繋がりました。
『軸』を持つことから学んだこと
今では、ゴルフで学んだ『軸』に関しては、仕事でも遊びでも、何事においても大切なことだと思っています。
実生活でもそうだと思いますが、『軸』がしっかりしていないと、いろいろな不安や誘惑があると、あっちへ フラフラ こっちへ フラフラと浮き足立ったり、思わぬ失敗を招いてしまったり、自分の方向性を見失うことにもなります。
形はしっかりしているけれどもどこに飛ぶのか分からない『凧』のようですね。
風任せ気分任せなので、いずれは失速して地面に落ちてしまいます。
まずは
自分が何を『軸』にしているのか
『軸』は自分の『構え』のどこに繋がっているのか
『軸』はちゃんと自分の『目標』に向かってブレていないか
もし今、物事がうまくいっていないようであれば、ちょっと立ち止まってみて、自身の『軸』は何であるのか、考えてみてはどうでしょうか。
最後までブログを読んでくださり、ありがとうございます!
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