みなさんは、『障害者スポーツ』といえば、何を頭に浮かべますか?
陸上・水泳・柔道・カヌーなどなど、みなさんも馴染みのあるスポーツが挙げられますね。
2020年には東京オリンピック・パラリンピックも控え、今まで障害者スポーツがどんなものかがあまりわからなかった方も、テレビなどのメディアを通じて、「へえ〜、こんなスポーツあるんだ」と身近に思われたのではないでしょうか。
そんな中で、私が今でも続けているゴルフについて話をさせていただき、ゴルフから学んだ日頃の心構えについてお伝えしたいと思います。
目次
私とゴルフ
私はゴルフが好きです。以前は、車椅子テニスとかに挑戦していた時もあったのですが、仕事やプライベートでゴルフに誘われることが増えたことや、ゴルフならのんびりと自分のペースでできるかなと思ってゴルフをするようになりました。
と言っても、全くのゴルフ未経験ではなく、中学校時代に父親の仕事関係で小さなゴルフショップを経営していた70代の方と知り合い、そのお店の裏庭に小さな打ちっぱなし(1人で練習する用くらいの大きさ)をするところもあったので、学校帰りとかにちょっとずつ教えてもらいながらゴルフボールを打たせてもらっていました。
中学校時代には『球技』と名のつくものは得意だったと自負していたので、当時の私の頭の中では、
「止まっているボールくらい、簡単さ」
と思っていました(ゴルフ初心者あるあるネタですね)。
でも、いざ、ボールをセットしてクラブを振ってみると
・・・・あれ?・・・全然当たらない。
アイアンからドライバーまで、お店に置いてあって試打できるクラブをいろいろ試してみたものの、アイアンを振れば
「ゴン!」
という鈍い音とともに、ボールの手前を思いっきり叩いてボールは全く動かず(いわゆる『ダフリ』)、当たっても
「カチーン」
という高い金属音とともにボールは右へ左へあっちこっちに飛び(飛ぶというかコロコロと転がるだけ)、ドライバーを握れば空振りの連続・・・・。
ボールは当たらないし、当たってもチョロやコロコロと力なく転がるだけ。だんだん頭に血が上って来て、ますますクラブを握る力が強くなり、ますます振り上げるクラブの高さが高くなる。当然、無駄な力が入っているので、さっきよりもさらに当たらなくなる。
見かねた店主が
「そんなに力を入れていたんじゃ、当たらないよ。ちょっと見ててごらん」
と言って、自らがクラブを握って私にボールを打つところを見せてくださいました。
その構えはとても力が抜けていて、ゆっくりと振り上げて
「シュッ」
という音とともにクラブを振り下ろし、
「パシーン!」
といういい音とともに、ボールはまっすぐ綺麗な弾道を描いて飛んで行きました。ドライバーも同じように、
「パーン!」
という乾いた音とともに、より鋭い打球で飛んでいきました(昔のドライバーは「パーシモン(柿の木)」でしたので、今のようなメタリックな音ではなく、なんとも響きの良い音でした)。
私がポカーンと店主の打ち方を見てると、店主から
「いいかい、ゴルフは力任せや闇雲に振り回していいもんじゃないんだよ。君と私とでは、君の方がずっと体力も力もある。でも、実際にボールをコントロールできていたのは私の方だよね。何が違うのかと言えば、『構え』なんだよ。まずは基本の『構え』を覚えることをしてみよう」
と言われました。
基本の『構え』を身につける
それから店主は私にアドレス(振りかぶる前の基本的な姿勢)の取り方、テークバック、振り下ろし方、フォロースルーまでの姿勢に関して、頭の先から足の先まで事細かくチェックしてくださいました。何度も何度も素振りをして、状態を確認してもらいました。
その上で、
「まずは30ヤード(約27m)先に、正確にボールが落とせるようになるまで、他のクラブは使用禁止」
と言われ、アプローチウエッジを渡されました。
店主のように格好良く飛ばしたいと思っていた私は、出鼻を挫かれたように思いましたが、あまりにも『構え』に関して指摘されることが多かったので、まずは言われた通りにしました。
「30ヤードなんて、ちょっと先のところじゃん。すぐこの課題はクリアできる」と思っていました。
ところが、思うようにいきません。
少しでも振りが大きくなると、30ヤード以上飛んでしまい、ボールが当たった音もクラブの芯から外れた嫌な金属音がする・・・。
飛びを意識して小さく振ろうとすると、手の力が中途半端に抜けて、これまたチョロっとしか転ばない。もしくはボールの手前でダフリをしてしまう。
しばらく悪戦苦闘していた私に、店主は「自分の姿をみてごらん」と言って全身が映る大きな鏡をセットしてくれました。
「頭の位置は鏡を向いたままでいいから、私がボールをセットするからさっき私が言ったように構えてみて打ってごらん」
と言われました。
実際に自分で鏡を見ながら打ってみると、
「あれ?振り方がぎこちない。なんで?」
私はボールを打とう打とうとしたり、ボールの下から拾い上げようとして手首が妙にこねてしまっていたり、最初のアドレスの時にはきちんと『構え』ができていたのがいざ振ろうとするとチグハグになっていることに気づかされました。
そして、先ほど教えてもらった一連の動作をもう一度思い出しながら鏡に映る自分を意識しながら振ってみると、
「ポーン」
といういい音ともに、ボールは30ヤードの地点に見事落とすことができました。
店主は嬉しそうに、
「そうそう、その感じだよ。それがコンスタントにできるようになれば、他のクラブを握っても同じように振れるようになるし、そのクラブにあった飛距離も出すことができるからね。」
と言ってくれました。
それ以来、30ヤードがしっかり打てるまで、何日も何日も練習しました。鏡も使いながら、自分の『構え』が間違っていないか、何度も何度も確認して練習をしました。
ある日、店主から「今日はこれを打ってごらん」と言われました。
手渡されたのはより飛距離の出るアイアン(5番アイアン)でした。
そして、
「いつもの30ヤード打ちを意識して、少しだけテイクバックとフォロースルーを大きくする意識で振ってみて」
と言われました。
いつもやっていた30ヤード・・・
頭の中はそれだけを考え、言われた通りに振ってみると、
「パシーン!」
といういい音とともに、ボールはまっすぐ綺麗な弾道を描いて飛んで行きました。
初めてしっかりと芯でボールを捉えた感触が伝わってきて、驚きとともに嬉しさがこみ上げてきました。それから何球か打ってみたら、徐々に飛距離も伸び始め、安定した弾道で飛ぶようになってきました。
それを見ていた店主は
「それだよ!まず基本の『構え』ができれば、あとは応用だよ。もし、行き詰まったら、まずは基本の『構え』を思い出してごらんね」
と言ってくれました。
基本の『構え』から学んだこと
この『30ヤード』の練習は、プロゴルファーの方々も実践されている練習法でもありますが、私はこの練習を通じて基本の『構え』というものの大切さを改めて認識しました。
中学校を卒業する頃には、硬式テニスの練習量が増えてきて、ゴルフからは一旦遠ざかったのですが、この時に教えてもらった基本の『構え』を大切にすることで、その後のいろいろな取り組みをしていく中で。行き詰まったり、うまくいかなかったりした時に
「まずは基本の『構え』に立ち返ろう」
という振り返りを行うことで、一つ一つの課題の解決に繋がっていることを実感しています。
最後までブログを読んでくださり、ありがとうございます!
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1件のコメント “義足でゴルフ上達の道〜基本の『構え』を身につける〜”