新米小坊主の小話 高野山を修行の場と決めた飛行三鈷杵の話

こんにちは。広島の作業療法士の川本健太郎です。

今日は、高野山真言宗 僧侶の川本祐道(ゆうどう)として、仏教に関するちょっとした小話(こばなし)をします。

サクッと読めるように心がけていますので、お気軽に読んでみてください。

(*´▽`)ノノ

今日のアイキャッチの画像は、高野山壇上伽藍(だんじょうがらん)の御影堂(みえいどう)の写真です。

(*^-^*)

 

高野山の開創と三鈷杵の結びつき


 

皆さんご存知の高野山ですが、高野山にまつわる話はいくつかあります。

例えば、過去のブログでも紹介させていただきましたが、実は高野山という名の山はないということは意外と知られていません。

↓ ↓ ↓

また、お大師さまがたくさんある日本の土地の中から、なぜ高野山を修行の場として選ばれたのかについて、高野山に観光に訪れた人や高野山に興味のある人なら聞いたことのある

 

三鈷の松(さんこのまつ)

 

に関係した話は、高野山とお大師さまを繋げるためのとても不思議な話として知られています。

ちなみにこの三鈷の松ですが、通常、松の葉は二葉か五葉なのですが、この三鈷の松は

 

三葉

 

です。

そのため、この松の葉には特殊な霊験(れいげん:神仏が示す不思議な感応や利益)があると信じられ、現在では参詣者の方々が、縁起物として松の葉の落ち葉を持ち帰り、お守りとして大切にされています(落ち葉以外は持ち帰ってはいけません)。

高野山と三鈷の松を結びつける出来事としては

 

飛行三鈷杵(ひぎょうさんこしょう)

 

の話をする必要があります。

ちなみに、三鈷杵とは密教の法具の一つであり、さまざまな修行・修法場面で用いられる大切な道具です

 

お大師さまが中国の唐に渡った話は過去のブログでもお伝えしています。

↓ ↓ ↓

唐へ向かう往路(行き)で、お大師さま一行は暴風雨に遭遇して、目的地から大きく離れた地にたどり着きました。

当然、復路(帰り)も嵐が予想されました。

帰国のために出港して間も無く、お大師さま一行を乗せた遣唐使船の行く手の波が荒れ始めます。

そこで、お大師さまは船の先端に壇を作り、自らが彫った不動明王像をお祀りし、しばらくの黙祷のあと、右手に持った三鈷杵を高々と掲げて

 

「日本国土に密教を広めるためにふさわしい場所があるならば、まさしくその地を示したまえ!」

٩(๑•̀ω•́๑)۶

 

と言われ、三鈷杵を東の大空に向かって投げました。

すると不思議なことに

 

三鈷杵は金色に輝きながら雲の彼方に消えた

 

と伝えられています。

 

また、三鈷杵は船の上ではなく、港から投げたとする説もあります。

 

これは唐からの帰国を前に、明州の浜(今の中国の寧波港)で、恵果和上から授けられた三鈷杵を手に、念をしっかりと入れ、そして明州の浜に立ち

 

「私が受け継いだ密教の教えを広めるのに最適の地があるのなら、先に帰ってその地を示したまえ!」

(๑•̀o•́๑)۶

 

と祈りながら手に持った三鈷杵を空中に投げました。

すると三鈷杵は

 

五色の雲に乗って日本に向かって飛んで行った

 

とも伝えられています。

そしてその三鈷杵は、のちにお大師さまが高野山を修行の道場とするべく、嵯峨天皇から賜った時に

 

この三鈷杵が高野山の松の木に引っかかっていた

 

というのです(地中から現れたとも伝えられています)。

Σ(*゚Д`;)

 

これが三鈷の松の由来とされ、お大師さまが投げた三鈷杵は

 

飛行三鈷杵

 

として現在は高野山の宝庫に大切に保存されています。

 

お大師さまが一身に祈りを込めて投じた三鈷杵が、遥か彼方の高野山にたどり着いたというお話を信じるか信じないかに関わらず、帰国から10年後の弘仁7年(西暦816年)に、天皇から高野山を賜ったことに繋がっていることを思えば

 

お大師さまがいかに高野山への強い思いを持っておられたか

 

を今に伝える貴重な話ではないでしょうか。

 

 

<お大師さまゆかりの地>

 

高野山 壇上伽藍 御影堂

(だんじょうがらん みえいどう) 

壇上伽藍はお大師さまが高野山をご開創された時に、真っ先に整備へ着手した場所として知られています。

壇上伽藍はお大師さまが実際に土を踏みしめ、密教思想に基づく塔やお堂の建立に力を注がれ、中門(ちゅうもん)、金堂(こんどう)、大塔(だいとう)、准胝堂(じゅんていどう)、六角経蔵(ろっかくきょうぞう)、御影堂(みえどう)、山王院(さんのういん)など、高野山を象徴するお堂と、お大師さまにゆかりのある場所が数多く存在しています。

<約8分の動画で壇上伽藍の紹介をされています>

三鈷の松は金堂と御影堂の中間に瑞垣で囲まれています。

三鈷の松

<写真引用:橋本新聞

壇上伽藍を訪れる人は、三鈷の松に立ち寄り、三葉の落ち葉を持ち帰り、家内安全無病息災心願成就のお守りとして大切にされています。

所在地:〒648-0211 和歌山県伊都郡高野町大字高野山152

お問い合わせ:073-656-2011(金剛峯寺)

交通アクセス:高野山金剛峯寺ホームページ

 

 

皆さんの貴重なご意見・ご感想、大変参考になりますので、お気軽にコメントなどいただけると嬉しいです。

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