こんにちは。広島の作業療法士の川本健太郎です。
今日は、高野山真言宗 僧侶の川本祐道(ゆうどう)として、仏教に関するちょっとした小話(こばなし)をします。
サクッと読めるように心がけていますので、お気軽に読んでみてください。
(*´▽`)ノノ
今日のアイキャッチの画像は、四国八十八ヶ所霊場第八番霊場 熊谷寺(くまだにじ)の本堂の写真です。
(*^-^*)
正しく伝える響きを持った言葉の重要性
お大師さまは、「あ」から始まり「ん」で終わる言葉をとても大切にされ
「お(あ)ぎゃー」
と息を大きく吐き出して生まれたものが
「ん」
と息を吸い込んで死んでいく姿は、私たちの人生そのものを表しており
阿吽(あうん)の呼吸
とはまさに
生命の旅路が一瞬の呼吸のうちにある
ということを私たちに教えてくれるとともに、「あ」から始まり「ん」で終わる言葉には
私たちの言葉や呼吸そのものが仏さまや宇宙の世界に繋がっている
ということを教えてくれていることは前回のブログでもお伝えしました。
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実はこの
「ん」
という表記は、もともと日本に無かったものをお大師さまが唐で出会った
悉曇文字(しったんもじ)
で見つけて、日本に持ち帰ったと言われています。
現存する日本最古の歴史書でもある
『古事記(こじき)』
には「ん」と読む仮名が一つも出てこず、例えば
「陰陽」=「メヲ」
「天地」=「アメツチ」
といったように、「ん」が一つも出てきません。
しかし、漢語には「ん」の音があります。
お経をまとめた経典が日本に取り入れられる過程で、平安時代が始まる頃には「ん」の必要性があったのです。
それまでの経典では
「ん」の代わりに「ム」「ニ」「イ」
の3種類の万葉仮名によって振り仮名にされていたので、お大師さまは
「このままでは本来の「ん」の意味が正しく使われず、経典がきちんと理解して説明できない」
∑d(`・д・´。 )
という強い危機感を持っておられたようです。
お大師さまは、経典をきちんと理解して説明できないと
仏さまに正しく伝える響きを持った言葉にならない
と思い、サンスクリット語や中国語を極める過程で
発音
音の高さや低さ
音の長さや短さ
を正確に表現することに力を入れ、
それまでの「ん」の扱われ方の不合理を正す
だけではなく
生命の旅を閉じるための音としての「ん」という大事な音をつくった
のでした。
お大師さまが力を注いだ「ん」という言葉。
そこには
仏さまに正しく伝える響きを持った言葉でないと経典は何も意味をなさず
正しい言葉によってのみ仏さまの教えがわかる
という、お大師さまの強い信念をうかがい知ることができるとともに、発音・音の高さ・音の長さや短さを正しく使わないと
意味を持った言葉にならない
ことを今の世に伝えているのです。
私たちも、普段使っている言葉の持つ意味を考えながら、会話をすることや文章を書くことを、時には行ってみてはいかがでしょうか。
<お大師さまゆかりの地>
四国霊場八十八ヶ所
第八番札所
普明山 真光院 熊谷寺
(ふみょうざん しんこういん くまだにじ)
弘仁6年(西暦815年)に、弘法大師(お大師さま)この地の奥の閼伽(あか)ヶ谷で修行を重ねているとき、紀州(今の和歌山県)の熊野権現(くまのごんげん)という神様が現れ、「これから先の衆生の救済のために像を安置しなさい」お告げをして虚空はるかに飛び去りました。
そこで弘法大師はその場にお堂を建てて、自ら一刀三礼(いっとうさんらい:1回彫るごとに3回礼をするという仏さまを彫刻する時の最大限の尊敬の念で彫刻を行うという意味)して等身大の千手観世音像(せんじゅかんぜおんぞう)を彫られ、その胎内に金の仏像を納めて本尊にしたと伝えられています。
<約5分の動画で熊谷寺の紹介をされています>
昭和2年の火災で、本堂とともに弘法大師作の御本尊は焼失しましたが、歴代住職の尽力により、本堂は昭和15年に再建。第二次世界大戦を挟んで昭和46年にお堂の全容が完成し、新たな御本尊が納められました。
仁王門は徳島県の指定文化財であり、和洋と唐様が融合された建物で、2階の天井や柱には極彩色(ごくさいしき)の天女の姿などが描かれ、訪れる人を暖かく迎えてくださいます。
所在地:〒771-1506 徳島県阿波市土成町土成字前田185
お問い合わせ:088-695-2065(TEL)
交通アクセス:四国八十八ヶ所霊場會
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