こんにちは。広島の作業療法士の川本健太郎です。
いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
熱中症への対応を本格的に行わなければならない季節になり、このブログでもシリーズで『熱中症』について扱っています。
今回は、『熱中症対処の基本と重症度分類を知っておこう!』というタイトルで、過去のブログの復習も含めて、熱中症の重症度分類とその対処法についてお伝えします。
熱中症対処に関しては、何度も繰り返し見返すことで
何かあった時にすぐに対応できる
ようにしておくことがとても重要なので、私自身も周りの人に繰り返しお伝えするようにしています。
目次
熱中症対処の基本
過去のブログの復習も交えて、熱中症対処の基本をお伝えします。
自分が具合が悪くなった場合はもちろんのことですが、具合が悪そうな人を見かけた時には次の3つのことは必ず行って欲しいことです。
1.声かけをする
具合が悪そうな人がいたら
「どうしましたか?」
(b`・д・´)bドウシタ?
「大丈夫ですか?」
(○`・Д・)ゝダィジョウブ?
と声かけをしてください。
この一言で
救われる命がたくさんあります
熱中症は、症状を判断して自分で対処できるのは
軽度の時のみ
です。
重度化して、意識がもうろうとしている状態では、自分では対処することは
ほぼ不可能
です。
その結果、深刻な事態になってしまうことが多いのが、熱中症の怖いところです。
この第3者からの声かけこそが熱中症の重度化を防ぐ最も重要なことになるのです。
もし、一人で声かけをすることにためらいがあるようなら、一緒にいる友人・家族・知人に協力してもらうことや、お店の人や近くにいる人に声かけをして状況を説明して協力してもらいましょう。
声かけをして、やはり何かがおかしいと思ったら
できるだけ涼しい場所に移動
してもらいます。
そして必ず
見守りをする
ことをしてください。
熱中症は急激に症状が悪化するのが特徴です。
2.水分補給をしてもらう
涼しい場所に移動したあとは、経口補水液またはスポーツドリンクを飲んでもらいます。
もし、経口補水液がなければ、お水やお茶でも構いません。
経口補水液がスポーン3杯くらいしかなく、カフェイン入りだけど烏龍茶ならある場合は、もちろん烏龍茶を飲んでもらってください。
カフェイン入りのお茶は利尿作用が強いので、普段の飲み物としてお勧めできないのは以前のブログにも書いていますが、この場合は
質よりも量
を優先して、水分をしっかり飲んでもらうことが大切です。
ただし一気に飲むのではなく
少しずつ飲んでもらう
ことを行ってください。
また、意識の状態もしっかりと確認してもらい、意識がもうろうとしている場合は口から飲む場合に
誤嚥
を引き起こしてしまう可能性もあるので、しっかりと飲み込むことができているかどうかも確認してください。
3.体を冷やす
体内にこもった熱をとるためには
体の表面近くの太い静脈を冷やす
ことが効果的です。
首の前側の両脇、首の後ろ、脇の下、脚の付け根(鼠径部:そけいぶ)に、保冷剤や氷のう、冷えたペットボトルなどを当てます。
保冷剤や氷のうはできればタオルもしくは衣類などでくるみ、直接肌に保冷剤や氷が当たらないようにしましょう。
保冷剤や氷が直接肌に当たると
低温火傷
を生じることや、冷やしすぎて
皮膚表面の血管が収縮して血液の流れが悪くなる
ことががあるので、注意が必要です。
ここまでは、過去のブログでもお伝えしているところですが、何度も繰り返してみていただくことで
もしもの時にすぐに対処できる
ようになりますので、復習の意味も込めていま一度参考にしていただきたいと思います。
↓ ↓ ↓
熱中症の重症度分類
今までの復習を含めて、熱中症対処の基本を見ていただきましたが、実際に起きている出来事から
熱中症の重症度を判断する
ことが重要になってきます。
「え!?そんな難しい判断はできませんよ」
ノ・_・`)ムリムリ
と言われる方も多いと思いますので、基本的には過去のブログでも記載している環境省の『熱中症環境保健マニュアル2018』の応急処置のフローチャートを参考にしていただくだけでも十分です。
<引用資料:環境省『熱中症環境保健マニュアル2018』>
ただ、どうしてもフローチャートだけでは十分に対応できない時もあります。
そんな時には熱中症が疑われる人の様子をみながら、次の3つの分類のいずれに当てはまるのかを確認してください。
重症度Ⅰ(軽度熱中症)
主な症状として
めまい
立ちくらみ
大量の汗をかく
筋肉痛・筋肉のこむら返り(硬直)
手足のしびれ
気分不良
意識障害はないが少しボーッとしている感じ
が見られます。
まずは慌てず、衣服をゆるめて涼しいところでひと休みしましょう。
冷やした水分や塩分を補給して、20〜30分ほど様子をみます。
症状が徐々に改善してくるようであれば、自力で家に帰ってもらうなどを勧めても大丈夫ですが、症状の改善がみられないようであれば
迷わず病院に行ってもらう
ことをしましょう。
その場では
「大丈夫、大丈夫」
(ノ´д`;;)
と言われることも多いと思いますが、一度熱中症が疑われる症状になった場合、そこから再び暑い環境などに出たら、さらに重度化するのが熱中症の怖いところです。
また、スポーツをしている時に非常に多くみられることとして、熱中症の初期症状を誤解して
「最近の若い子はたるんでる」
ヾ(。`Д´。)ゴルァ!
「注意力が低下したり手足がつるのは日頃の鍛錬が足りないから」
(○`ω´○)喝!
と誤解して熱中症と判断せずに、トレーニングを行ってしまい、適切な休憩や冷却や水分摂取を行わないことで
重症化してしまうことが非常に多い
ことをコーチや指導者や上司だけではなく、皆さんもぜひ知っておいて欲しいことです。
軽度の熱中症でも
全身のだるさ(倦怠感)
めまい
疲れやすい
耳鳴り
頭痛
下痢をしやすくなる
といった
後遺症が残る
こともあるので、軽い症状だからといって熱中症を甘くみてはいけない点も重要です。
重症度Ⅱ(中等度熱中症)
主な症状として
頭痛
吐き気
嘔吐
全身の体のだるさ(倦怠感)
体に力が入らない(虚脱感)
集中力や判断力の低下
が見られます。
重症度Ⅰと同様に、まずは慌てず、衣服をゆるめて涼しいところで休ませましょう。
水分が摂れるようならば
少しずつ飲んでもらう
ことを行います。
そして
救急車を迷わず呼びましょう
特に、こちらの問いかけに対してはっきりと答えることができない、呂律が回っていない、目の焦点が合っていない、高齢者・子供・乳児といった熱中症弱者であれば、迷わず救急車を呼びましょう。
「いや、そんな大それたこと・・・救急車呼んだら私が救急隊員に説明するの怖い」
ヾ(´д・`;)コワイ…
という人の気持ちもよく分かります。
最近では軽症の場合に救急車をタクシー代わりにしているようなことが指摘されているのも事実です。
でも熱中症は外的要因の疾患であり、早い段階で適切な処置をすれば改善することが十分に期待できる病態でもあるので
治療のタイミングを逃さないための救急要請
だと思ってください。
救急要請の判断に迷う場合は、一緒にいる人や近くにいる人にも一緒に様子をみてもらうことや総務省消防庁が行っている救急安心センター事業
#7119
に電話連絡をして救急車を呼ぶべきかどうかの確認をしてください(お住まいの地域で『救急安心センター事業』に該当しない場合は迷わず『119番』に電話をしてください)。
また、子供の場合は全国共通
#8000
に電話をすると『こども医療電話相談』を利用することができます(お住まいの地域によっては相談時間が異なりますので、下記リンクからご確認ください)。
リンク:厚生労働省『こども医療電話相談』
重症度Ⅲ(重度熱中症)
主な症状として
意識障害
けいれん(体のひきつけ)
手足の運動障害
呼びかけへの反応がおかしい(反応がない)
真っ直ぐに歩けない
高体温(体に触っただけでかなり暑い)
が見られます。
もうこの状態は
命の危険
にあるほどの重症なので
大至急、救急車を呼びましょう
救急車が来るまでの間、涼しい場所に運び、体を冷やすなど、できる限りの処置をしましょう。
この時も一人で対処せず
一人でも多くの人に助けを求める
ことを必ず行ってください。
熱中症の重症度分類について、『日本救急医学会熱中症分類2015』の表を掲載していますので、ぜひご参照ください。
<参考出典:『日本救急医学会熱中症診断ガイドライン2015年』より>
まとめ
今回はシリーズ『熱中症』の第6回目として『熱中症対処の基本と重症度分類を知っておこう!』というタイトルで、過去のブログの復習も含めて、熱中症の重症度分類とその対処法についてお伝えしました。
熱中症対処に関しては、何度も繰り返し見返すことで
何かあった時にすぐに対応できる
ようにしておくことがとても重要です。
また、自分自身が熱中症かなと思った時にも、すぐに周りに助けを求めることができることも大切なことです。
自分や自分の周りの人の熱中症の対策のために、今回お伝えしたことが少しでもお役に立つことができればと思います。
皆さんの貴重なご意見・ご感想、大変参考になりますので、お気軽にコメントなどいただけると嬉しいです。
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最後までブログを読んでくださり、ありがとうございます!
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