作業療法士ってそもそも何をする人なの? 皆さんの素朴な疑問にお答えします

こんにちは。広島の作業療法士の川本健太郎です。

ブログを始めてから約8ヶ月が過ぎます。

皆さんの暖かい応援のおかげで、続けることができていることに、本当に感謝しています。

 

ところで

私は作業療法士です。

最近読者になってくださる方々から、素朴な疑問として

 

「作業療法士ってそもそも何をする人なの?」

σ(・ω・,,`)?

 

といったお話をいただくことがあります。

また、後輩の作業療法士からは

 

「作業療法についてうまく周りの方に説明できないんです」

(;´・ω・)ウーン

 

という相談を受けることもあります。

 

ちなみに『作業』について

仕事。また、仕事をすること。特に、一定の目的と計画のもとに、身体または知能を使ってする仕事。

goo辞書

のように、どちらかと言えば

仕事または使役(しえき:何かをさせられること)

と捉えている人も少なくないのですが、作業療法の『作業』はもっと広い範囲のことを指します。

 

そこで今回は、作業療法士って何をする人なのか、私がよく一般の人向けの講演とかでお話をする内容をお伝えします。

全部をお伝えすると、ものすごい情報量になるので

 

「あ、なるほど、作業療法士さんってこんな感じなんだね。」

(´∀`σ)σ !

 

といった感じにしたいと思います。

いつもよりちょっと難しい内容なので、全部を読むというよりも、気になった所だけをサッと読んでいただいても構いません。

 

もし、作業療法に関してご興味のある方、もっと作業療法に関して知りたいという方は、私のわかる範囲でお答えさせていただきたいと思いますので、お気軽にお問い合わせください。

↓ ↓ ↓

お問い合わせ

 

 

作業療法の定義


<画像引用:広島県作業療法士会

作業療法は、人々の健康と幸福を促進するために、医療、保健、福祉、教育、職業などの領域で行われる、作業に焦点を当てた治療、指導、援助である。

作業とは、対象となる人々にとって目的や価値を持つ生活行為を指す。

一般社団法人 日本作業療法士協会

日本作業療法士協会ではこのように定義しています。

これは2018年の日本作業療法士協会の総会にて承認された定義です。

簡単にいうと

 

人々の健康と幸福のために作業を用いてお役に立つ

 

作業は対象となる人にとって意味のあるものでなければならない

 

といったように、病気や障害のあるなしに関わらず、どんな人も、自分にとって意味のある活動(すなわち『作業』)が今よりもっとうまくできるようになることをサポートするのが作業療法だと言えます。

それまでの作業療法の定義は

 

病気や障害を持つ、あるいはその可能性のある人に対して、心身機能、日常的な生活活動、社会参加などに必要な能力の回復・維持・開発のために治療・指導・援助を行う

 

といったように、病院・施設で行う治療的意味合いが強いものや、個別の訓練といった要素が強いものだったと言えます。

こうした定義は、いくつかの作業療法の見方や価値観の大きな変化(パラダイムシフト)によって、現在のような定義になり、それは

 

人は作業で元気になる

(๑•̀ㅂ•́)و✧YES!

 

という信念に基づいていると言えます。

 

作業療法を図にしてみた


 

言葉ではわかりにくいので、作業療法を図(概念図)にして見ました。

一つずつ説明をしますね。

 

1.『人』とは

『人』とは、身長、体重、性別、性格、声、表情、思想、信条などといった、その人そのものを形作る

 

『個性』

 

のことを言います。

それは

 

『自(分)』と『他(人)』それぞれ異なる『個性』

 

でもあります。

作業療法士は『個性』を尊重します。

どんな人にも、その人が歩んできた歴史があり、その中で経験してきたことは、誰かが代わりに経験することのできない、その人にとってかけがえのない経験でもあります。

もちろん、良いことばかりではなく、辛い経験もあり、それを思い出したくもないと思います。

それら全てを含めて、作業療法士はその人のありのままを支えつつ、苦しみや悲しみから少しでも解放されるよう働きかけます。

 

2.『環境』とは

『環境』とは、住んでいるところ、人やモノや制度といった社会的な資源、地域の特性、土地柄などといった

 

『環境』

 

そのものを言います。

それは

 

『自分に影響を与えている環境』

 

でもあります。

作業療法士は、その人が暮らしている『環境』を重視します。

この点が、他のセラピストと大きく異なる点だと私は認識しています。

それは、家の間取りや配置を変えることや、段差を無くしたり手すりをつけたりするだけではなく、社会そのものを変えるための取り組みも行います。

国が定めたいろいろな支援制度を知らない人には、その情報や手続きの仕方を教えることや、担当者につなぐことも行います

国の定めた制度で足りない部分は、制度以外の仕組み(ボランティアやNPO法人など)でその人を支えることができないかの調整を行います。

病気や障害を持つ人に限らず、対象となる人が仕事や学校がうまくいっていない時に、職場の同僚や学校の先生・友人に働きかけて、少しでも仕事や学校が楽しい場となるようにすることも『環境』への取り組みとして大切なことになります

一言で『環境』と言っても、その人を取り巻く環境は非常にたくさんあるので、この『環境』にしっかりと働きかけができるかどうかで、作業療法士の実力が問われます。

 

3.『作業』とは

 

作業は対象となる人にとって意味のあるものでなければならない

 

と先ほど説明しました。

もっと具体的に『作業』について説明すると、『作業』とは、仕事、役割、趣味、睡眠、身の回りのこと(身だしなみやお風呂に入ることなどのセルフケア)といった

 

『朝起きてから眠りにつくまでの一連の行為』

(ノ*・ω・)ノ*.オハヨオォォ☆゚

人ゝω・)ぉゃすみ*

 

のことを言います。

人は1日の生活の中で、なんらかの『作業』を必ず行っています。

『作業』の内容や、どのくらいその『作業』がその人にとって大切なのかは、人それぞれによって大きく異なります。

作業療法士はどんな人であってもその人にとって意味のある『作業』を重視します。

そして、作業療法士の価値観を押し付けることはありません。

作業療法が必要な人と一緒に考えることが大前提です。

 

4.『人』『環境』『作業』のお互いの関係と『作業遂行』

作業療法では

 

人・環境・作業がお互いに関係しあうことを利用する

 

人・環境・作業の全てに働きかける

 

という特徴を持っています。

なぜならば、人・環境・作業がバラバラになってしまったのでは、その人のやりたいことを十分にサポートすることができないからです。

病気や障害だけではなく、なんらかのきっかけで人・環境・作業のバランスが崩れてしまうことは皆さんも経験があるのではないかと思います。

特に、人間関係の悩みなどは、まさに人・環境・作業のバランスが崩れていると言えます。

作業療法士は常に人・環境・作業についての評価を行い、具体的なプランを提示することをその役割としています。

人・環境・作業についての評価を行って、具体的なプランを提示する上で作業療法士は、人・作業・環境全てに関係している『その人らしさ』を形作っている

 

作業遂行

 

にもっとも力を入れています。

 

自分のやりたいことが

 

やりたい時に

 

やりたいところで

 

やりたいように

 

できる

 

ことをサポートするのが作業療法士です。

誰かが決めてそれに従うのではなく、あくまでも

 

あなた自身が主役です

 

という姿勢を崩さないのも、作業療法の特徴です。

 

作業療法のカンタン説明例


 

「う〜ん・・・そうは言われても、いまいち難しいっす」

(´・ω・`)

 

と思われているかもしれません。

そこで、過去のブログでもチョコチョコでている、私も作成に参加した広島県作業療法士会の社会貢献部が2004年に作成した

 

『地域で作業療法士が活躍するための便利帳』

 

から抜粋したものを使用して、作業療法のカンタンな説明例を挙げてみます。

 

1.いろいろな作業をできるように工夫する仕事です。

私の過去のブログでも『工夫』を『やる気を引き出す』を例にして説明しています。

『やる気を引き出す』ことは、作業ができるようにするための大切なことです。

↓ ↓ ↓

 

2.「好きこそものの上手なれ」

好きなことを一生懸命すると力がつきます。

この原理を治療に応用しているのが作業療法です。

 

3.「習うより慣れろ」

生活の中で繰り返ししていることはだんだんうまくできるようになります。

作業療法士は様々な能力を伸ばす生活の仕方を提案します。

 

4.「火事場の馬鹿力」

状況によって、人は思いがけない力を発揮するものです。

作業療法士は潜在能力(眠っている能力)の発掘にもっとも適した状況を用意します。

 

5.「なせばなる、なさねばならぬ何事も」

何かをすれば何かが生まれます。

なすことの効用に作業療法は注目しています。

 

6.「転がる石に苔(コケ)は生えない」

とにかくできるところから何かをしてみようというのが、作業療法の発想です。

 

7.「楽しい時はあっという間に過ぎる」

楽しい作業をすることで、病や苦しみの時間を追いやることができます。

 

8.「思い出は宝物」

楽しい経験、充実した仕事は、時が経っても色あせることなく、一時の作業の経験が人生をより豊かに彩る(いろどる)ことになります。

 

9.医者・看護師・理学療法士・言語聴覚士・作業療法士それぞれの役割

医者は病気を治す、看護師は看病する、理学療法士は身体がうまく動くようにする、言語聴覚士は言葉がうまく使えるようにする、作業療法士は作業がうまくできるようにする。

 

10.作業の分析と解決方法

作業ができない理由を分析して、いろいろな解決方法を提案します。

 

11.力の付け方

力の少ない人には、適度に力を使う作業をすすめ、徐々に力がついていくようにします。

あるいは、少ない力でもできる方法を教えます。

 

12.心の健康のために

気持ちが落ち着かない人には、落ち着ける環境や作業を探します。

私の過去のブログでも『心の健康のために』と題して心を健康に保つための説明していますので、ぜひ参考にしてください。

↓ ↓ ↓

 

13.使える機能はしっかり使う

使わない機能は衰えます。

その人の生活に必要な機能が衰えないように、魅力的な作業をすることで機能を使えるように考えます。

 

14.できることを無理せず効率的に行う

どうしてできないのか、どうすればできるのか、作業療法士が一緒に考えます。

そして、できることを無理せず効率よく作業をするためのアイデアを作業療法士が提案します。

 

まとめ


 

今回は、作業療法士って何をする人なのかをお伝えしました。

なるべく分かりやすくお話をしたつもりですが、少しボリュームも多かったかもしれません。

ここで書いてあることは作業療法の入り口のようなものなのですが、作業療法士って何をするのか、少しでもイメージがついていただき

 

「あ、こんなことを作業療法士に相談していいんだ」

(人’v`*) オネガイ

 

と身近な存在に思っていただけたらとても嬉しいです。

 

 

 

皆さんの貴重なご意見・ご感想、大変参考になりますので、お気軽にコメントなどいただけると嬉しいです。

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