こんにちは。広島の作業療法士の川本健太郎です。
熱中症に注意をしなければいけない季節に入ってきましたが、例年、熱中症になる人の数は増え続けています。
今年も猛暑が予想されていますし、暑くならなくても急な温度変化で
容易に熱中症になる
のが怖いところでもあります。
特に
運動を行う前に温度を確認すること
はとても重要な熱中症対策になります。
しかし、多くの方々は一般的な温度計(乾球温度計)や体感温度だけで温度を判断しがちになり、気がつくと
ことも珍しくありません。
【関連記事】
今回は運動を行う前に必ず確認して欲しい熱中症対策について
温度と運動との関係
を中心にお伝えしようと思います。
なお、ここでお伝えしていることは一般的に知られていることもありますが、医療従事者ならではの視点で私自身が体験したことや講演会などで聞かれたときにお答えしている内容ばかりです。
また、皆さんの貴重なご意見・ご感想、大変参考になりますので、お気軽にコメントなどいただけると嬉しいです。
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☆ヾ(´∀`)(´∀`)ノ☆
目次
熱中症のメカニズム
そもそも熱中症となるのは、通常とは異なるメカニズムで余分な熱が外に出ていかないために引き起こされます(下図『熱中症となるメカニズム』参照)。
体温が上昇して汗をかくと、体内の熱を利用して汗を蒸発させます(気化熱が発生)。
汗の蒸発とともに、上昇した体温が下がっていきます。
また、全身を流れる血液は、内臓などで発生した熱を拾い、熱くなった血液は体の表面の皮膚の毛細血管へ流れてその熱を体の外に放出(放熱)して血液の温度を下げていきます。
そして冷えた血液が再び内臓や体の奥に戻ることで、体の内部の温度が下がるのです。
しかし、体の中の水分が不足して十分な汗がかけなくなったり、血液がなんらかの理由でドロドロになって血液の流れが悪くなってしまうと、体温調節機能が働かなくなります。
体温調節機能が働かなくなると、体の中で発生した熱が体の外に放出されずにそのまま残ってしまい、以上な高体温(うつ熱)状態となって
熱中症
を引き起こしてしまうのです。
特に運動時にはしっかりと汗をかくことが多く、汗をかくことでの
爽快感
が先行してしまって水分補給を忘れてしまうことや、汗をかいた後で
一気に水分を摂取してしまう
ことで、水分(特にミネラル)が体に十分に吸収されないまま尿として排出していることに気づかず
知らず知らずに熱中症になってしまっている
ことも多いので、注意が必要です。
過去のブログでも熱中症のメカニズムについて繰り返し触れているので、この機会にぜひ参考にしてみてください。
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運動時の熱中症を防ぐための温度の目安
熱中症の発症には
気温
湿度
気流
太陽輻射(輻射熱)
などが影響します。
しかし、学校や職場などでは一般的な温度計・湿度計での測定しか用いていないことが多いため、熱中症になりやすい環境を見落としやすく、その結果
「そんなに気温が高くないのになんで熱中症になるの?」
(・・?)ナヌ?
「こまめに水分補給をしていたのにどうして熱中症になるの?」
σ(・ω・,,`)ハテ?
といった声も多いのが現状です。
そこで参考にしてもらいたいのが
温度と運動との関係
です。
これについてはまず下図をご覧ください。
私たちが普段から使っている温度計は
乾球温度計
と呼ばれるものです↓
これは簡単に温度を測ることができるとても便利な者ですが、一方で
測定場所によっての誤差が大きい
ことでも知られています。
例えば、夏場の屋外で身長160cmくらいの人の頭の高さで測った気温が30℃であったとしても、地表温度は
50℃近く
になっていることも珍しくありません。
また、子供の場合は地表温度からの熱をダイレクトに受けやすいため
大人の体感温度よりもはるかに高い温度になっている
ことも多いので、大人が運動して少し汗をかく程度の温度であっても、子供にとっては
非常に危険な温度になっている
ことも珍しくありません。
この点は是非とも注意しておいて欲しいところです。
【関連記事】
リンク:保護者の見守りと指導で子供を熱中症から守ることができる
その上で、温度以外の要因も総合的に判断するための測定として
暑さ指数=WBGT(Welt-bulb globe temperature)
を基準とすることが推奨されています。
実際に環境省が使用している熱中症指数はこの値を基準にしています。
リンク:環境省 熱中症予防情報サイト
このWBGTの計算方法ですが
屋外=0.7×湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度
屋内=0.7×湿球温度+0.2×黒球温度
とされています。
湿球温度とは、温度計の球部を湿らせたガーゼなどで覆って常時湿らせた状態で測定する温度のことで、百均などで売っている温度計でも測定することができます。
黒球温度とは、ちょっと特殊な温度計で測定した温度のことですが、黒色に塗装された薄い銅板の球の中心部の温度のことを言います。
黒球温度はいわゆる
輻射熱
を測定することができるので、乾球温度計だけでは分かりにくい
壁やアスファルト(地表)からの照り返し
気流(風力)の影響
も測定できるところが便利であり、運動会などで地面に座って待っている子供たちに与える影響も考慮することができます。
最近では、黒球温度を測れる機能がついていながらも、WBGTが測定できる便利な機器もあり、学校教育機関を始め、導入をしているところも徐々に増えていっています。
「そんなことを言っても、買ってまでは対策したくないわ」
(´・ω ・`)買ウノ?
と言われる方もおられると思います。
そんな時には気象庁が発表している
熱中症予防情報サイト
を参考にされることをお勧めします。
このサイトでは、全国のWBGTがマップで分かりやすく説明されており、定期的に更新もされています。
また、環境省の公式LINEアカウント登録をすれば、リアルタイムでお住まいの地域の熱中症の注意状況が把握できます。
ただし注意して欲しいのが、サイトではあくまでも
地域単位での測定値なので現在地での細かい状況まではわからない
更新されるまで次の情報が得られない
というデメリットもあることを知っておいてください。
リンク:環境省 熱中症予防情報サイト
これからの季節、特にお子さんの運動会や屋外での運動をする場合には、WBGTが測定できる機器を持っておくことや、環境省のサイトで常にWBGTを確認するなどを行うことをお勧めします。
普段から熱中症になりにくい体づくりも大切
運動と温度との関係も大切ですが、実は普段から熱中症になりにくい体づくりもとても大切になります。
熱中症になりやすい人に共通するのは
①暑さや渇きを感じる脳のセンサーの機能
②汗をかく機能(発汗機能)
③体調・体力の状態
④血液の状態
⑤体の中の水分量
といった機能の衰えもしくは著しい低下ある人です。
その一方で、熱中症になりにくい人の特徴は
①普段から運動をして汗をかいている
②体が暑さに慣れている
③生活のリズムが規則正しい
④普段からこまめに水分を摂る習慣がある
⑤栄養の偏りや栄養の不足がない
⑥持病がない
ことがあげられています。
また私のブログで何回もお伝えしている
ウォーターローディング
を取り入れることで、熱中症になりにくい体を作ることができます。
ウォーターローディングでは
1回の水分摂取量100mL〜200mL
を目安に、こまめに水分を摂る習慣をつけることもお勧めしています。
ウォーターローディングをすることで、体の細胞内の水のタンクを常に満たしておくことができ、大量に汗をかいても熱中症になるまでの時間を先延ばしにできる可能性があると言われています。
この機会に、過去の関連記事を参考にしていただけたらと思います。
【関連記事】
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まとめ
ますます暑くなる季節を前にして、今回は運動を行う前に必ず確認して欲しい熱中症対策について
温度と運動との関係
を中心にお伝えいたしました。
温度と運動との関係については、できるだけ正確に把握しておくことも大切ですし、そのためには
暑さ指数=WBGT
を是非とも参考にしていただけたらと思います。
皆さんの貴重なご意見・ご感想、大変参考になりますので、お気軽にコメントなどいただけると嬉しいです。
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