こんにちは。広島の作業療法士の川本健太郎です。
いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
シリーズ『終活』では人生の終わりに向けて取り組むことについてお伝えしています。
『終活』シリーズの第4回目の今回は、『エンディングノートの作成』についてお伝えします。
今回の『終活』シリーズの話を読み進めることと同時に、過去にブログ内で紹介させていただいた
『終活』を考える前に読んで欲しい3冊の本
も是非参考にしていただきたいと思います。
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目次
『終活』を改めて振り返る
『終活』とは
人生の終わりについて考える活動
であり、その活動内容としては
自分の人生の最期に向けて、前向きな気持ちで準備を行う活動
何かあった時に困らないよう、また、家族の負担を減らすための活動
命の灯火が消えることを人生の一つの完成形として、「現実的な」準備をしておく活動
であることは過去のブログでもお伝えしています。
まだブログを読んで居ない方はぜひこの機会に一度読んでおいてください。
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こうした取り組みを文章として残す方法の一つとして
エンディングノートの作成
があります。
ではエンディングノートでは実際にどのようなことを書くのでしょうか。
エンディングノートを書く
エンディングノートの書き方の方法はたくさんありますが、基本的には
自分自身の人生を振り返る
残される家族のことを考える
友人・知人・今までお世話になった人たちへの思いをつづる
やり残したことや叶わなかった夢などを書き出す
余生を通じてできること・できないことの整理に繋げる
ことには変わりありません。
ここではエンディングノートの書き方の例を上げて説明をします。
ここでは便宜上①〜⑨の順番をうっていますが、優先度が高いと思われるものや、イメージがつきやすいものから書くことをお勧めします。
①自分史(生活史)を書く
幼少期の思い出、学歴、職歴、思想・信条、人生の転機、思い出の場所など
自分自身がどんな人生を歩んできたか
を振り返ることは
自分自身の人生の意味を見つめる上でとても大切な取り組みになります。
「あの頃は若かったね〜」
(◎-ω-)。o○
「あの時の友達はどうしてるかな?」
( ´ー`)。о
「あの時はよく頑張ったな」
(*´艸`)。o○
「子供が生まれた時はこんな気持ちだったな」
(ρω・).。o○
と言ったことを書き残しておくことは、あなたのことをもっと知っておいて欲しい人へのかけがえのないメッセージにもなるだけではなく、あなた自身の
これからの歴史
をどうしたいかを考えるきっかけにもなります。
自分史に関しては、プロスキーヤーの三浦雄一郎さんは
自分史をまとめていく過程で、自分がまだやりきれていないことや、やり残したことが明確になってくる。
新たな夢を実現させるために、まだまだ元気でいたいという意欲が出るとともに、いつでも旅立てる心構えができる。(三浦雄一郎)
とおっしゃっています。
これからの人生への意欲につなげるためにも、自分史をまとめる作業は大切なことだと思います。
②家系など『家』にまつわることを書く
自分の両親のこと、配偶者のこと、子供のこと、親戚のこと、家紋のこと、宗教のこと、お墓のことなど、あなたが過ごしてきた
『家』にまつわること
を書いておき、それを引き継ぐ世代に伝えることはとても大切な取り組みです。
私たちは、今日に至るまで、御先祖さまたちからの
命のリレー
を繋いでいます。
そこには、先祖代々からの
『家』に関するしきたり
も含まれています。
自分自身に子供がいるかいないかに関係なく、あなたが過ごしてきた『家』にまつわる話しは、次の世代のためにも残しておきたいことですね。
③望む・望まない医療行為を書く
持病、常備薬、かかりつけ医、臓器提供など
もしもに備えた医療体制
について書いておくことはとても重要です。
過去のブログでも何度もお伝えしていますが、人生の最期で一番混乱するのが
医療行為
です。
過去のブログでお伝えしている
アドバンス・ケア・プランニング(ACP)
を活用して、医療関係者やご家族・友人・知人を交えて
普段からのコミュニケーション
をとっておくことが極めて重要になってきます。
詳しくはアドバンス・ケア・プランニングについての記事をぜひ参考にしてください。
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④望む・望まない介護を書く
どれだけ健康な人でも、いずれは介護が必要になることは
高齢化社会
となっている現代において、多くの方がすでに知っているところでもあります。
介護が必要になった場合
どんな介護を受けたいか
誰に介護してもらいたいか
介護費用をいくらくらいだと考えているか
などを周りの人に知っておいてもらうことはとても大切です。
特に
介護が必要になった場合にどういったところで過ごしたいか
は介護が必要になってからの生活の質(Quality Of Life:QOL)にも大きく関係してくるので、きちんと書いておくことが重要です。
実際に、最期を迎えたい場所について
『自宅』と答えた人は54.6%
にものぼります(下図参照)。
しかしながら、実際に最期を迎える場所は
『病院』が74.6%
と最も多く
『自宅』は12.7%
となっています(下図参照)。
こうしたズレを最小限にするためにも、医療や介護についてはしっかりと意思表示を残しておき、周りの人にもしっかりと知っておいてもらうことが大切になります。
⑤財産管理について書く
預貯金、不動産、ローン(借財)、年金、生命保険、クレジットカードといった財産に関することについて
遺言書には書けない財産やお金
がある場合にはエンディングノートに記載しておくことをお勧めします。
特に
ペットの処遇
については、遺言書にも書くことは可能ですが、できればエンディングノートに忘れずに書いておき
安心して任せることができるようにしておく
ことがとても大切になってきます。
⑥葬儀の形式などについて書く
葬式の形式・規模・内容などを事前に書いておくことも大切です。
最近では
生前葬(せいぜんそう)
と言って、最期を迎える前、とりわけ元気なうちに葬儀を済ませておくことも少しずつ広がりを見せています。
また、自分や家族でしっかりと下見をしておき、あらかじめ予算を決めておきて葬儀業者などに相談するケースも増えてきています。
自分自身が希望する葬儀が実行できることは、別れの悲しみに対する癒しでもある
グリーフケア
にも繋がり
「思いを汲み取った形でお見送りができた」
ε-(´∀`*)ホッ
という遺された家族の安心にもなります。
⑦供養方法について書く
葬儀の後の埋葬法やその後の法要などについて
誰に
どのように
どこまで供養して欲しいか
を記しておくことも大切です。
最近では先祖代々の墓を継ぐことが困難になってきた結果、先祖代々のお墓を閉じるという
墓仕舞い(はかじまい)
の動きが進んでいます。
先祖代々のお墓を自分の代で絶やしてしまうことへの葛藤はみなさんおありのようですが、現実問題として維持管理に時間とお金と労力がかかることを考えると、致し方のない部分もあると思います。
ただ、遺された家族や友人・知人が
どのような形で故人を偲ぶ(しのぶ)ことができるか
についても少し考えておいていただきたいところです。
⑧To Doリストを作る
自分史などを作る過程でも出てきますが、まだまだやり残したと思うことがないように
やっておきたいことを箇条書きにしておく
ことも大切です。
このTo Doリストを作成する時に、よく
現実に即したもの
と言われる方もおられます。
もちろんそれも大切なことかもしれませんが、大事なのは
絶対に実現するぞ
という強い信念と目標(いつまでに、何を、どこまで)を持つことが大切だと私は考えます。
実際にTo Doリストを作成する過程で
「こんなのできっこないよ」
<(゚´Д`゚)>アカンワァ…
と言って最初から諦めている人に比べて、例えば
「絶対に今年中に四国八十八箇所巡りをするぞ!」
( *• ̀ω•́ )b グッ☆
と明確な目標を決めている人の方が幸福感が上がり、さらには健康にも繋がっているということは、作業療法士に限らず、人々の生活を支えている仕事をされている方の多くが経験していることかと思います。
このブログでたびたび取り上げている、ドキュメンタリー映画の
エンディングノート
でも、主人公の砂田さんが一番力を入れて取り組まれたことだったと言っても過言はありません。
<エンディングノート 予告編(約2分)>
「自分の人生をきちんとデッサンしておかないと、遺された家族が困りますから」
(´A`。)
という砂田さんの言葉が私の心には非常に深く響きます。
⑨メッセージを書く
言うまでもなく
大切な人に残しておきたい思いを文字で残しておく
ことはとても大切になってきます。
ここでのメッセージは、いろいろと考えて書くのではなく
その時に頭に浮かんだ言葉
をそのまま書いておくことをお勧めします。
いろいろと考えて捻り出したものは、感情を乗せているつもりでも
本人が思っているほどなかなか感情が乗っていないことが多い
のです。
ありのままの気持ちをそのまま言葉にしておくことで、あなたの素直な感情がそのまま相手に伝わりますし、それがかけがえのない
メッセージ
になります。
エンディングノートの利点
エンディングノートの利点として、エンディングノートを作成する過程で
これから自分が何をしたいのか
自分は何をやり残したのか
がはっきりとしてきます。
また、前述の三浦雄一郎さんの言葉にもあるように
新たな夢を実現するためにより元気になりたいという意欲が湧いてくる
ことも大きな利点です。
そして、エンディングノートは
何度も書き直しができる
ところも利点として挙げられます。
これは、法的効力を持つ
遺言書※1
ではなかなか簡単には書き直しができないことに比べると、その時の自分の心情などの変化に柔軟に対応できるものと言えます。
※1.遺言書によっては法的効力よりもメッセージ性の強いものがあり、それはエンディングノートと同程度に書き直しが可能なものもあります。
その上で、エンディングノートは
家族とのコミュニケーションの足りない部分を補う働きを持つ
ことも、言葉ではなかなか伝わらないことを文章化することで家族間のコミュニケーションがより良くなるという利点もあります。
エンディングノートの作成過程で、家族間のコミュニケーションがしっかり取れてくるのであれば、例えエンディングノート が未完成でも、あるいはほとんど書かれていなかったとしても
エンディングノートの役割を十分果たすことができる
と言えます。
エンディングノートの作成にあたって
エンディングノートは市販のもので作成することができます。
価格の幅はありますが、だいたい
800円〜1700円
くらいが市販のエンディングノートの相場です。
私がエンディングノートの作成に関して市販のものを聞かれた時に答えているのが
コクヨのエンディングノート(LIVING & ENDING NOTEBOOK)
です。
こちらはエンディングノートの役割を一通り網羅しながらも、どちらかというと、もしもの時の
備忘録
としての活用が多いです。
市販のもののメリットとしては
書く内容が箇条書きになっているので書き残しを減らすことができる
書くための手順が分かりやすく解説されている(DVDがついているものもある)
エンディングノートだと分かりやすく提示できる
などが挙げられます。
しかし私は自分なりにまとめやすいノートであれば何でも良いと思っています。
大切なことは
エンディングノートは自分の思いをそのまま言葉・文章にすること
エンディングノートの存在を知ってて欲しい人に包み隠さず提示すること(保管場所も含めて)
なので、市販のものでも自分のオリジナルのものでも、その役割をしっかりと果たせるのであれば何でも良いと思っています。
私は医療職ですので、患者さん・利用者さんだけではなく、そのご家族とも関わることが非常に多く、このエンディングノートに関してもたくさん相談を受けます。
ご家族の中には
「なかなか親にエンディングノートの話を切り出しにくい」
(。-`ω´-)ンー
と言われる方も少なくありません。
特に、いきなりエンディングノートを差し出して話をすると
「あんた、何が目的よ!?」
(# ゚Д゚)ナンジャ!?
と過剰に反応されることも珍しくありません。
そんな時にはこのブログ内の『エンディングノートを書く』で取り上げた①〜⑨の項目を参考に
「知っておくのと知らないでおくことでは心構えが違うから」
(・∀・)p
「私も書いているから一緒に書いてみようよ」
ヾ(・ω`・o)ネッ
くらいから親に説明することをお勧めしています。
まとめ
今回は『終活』シリーズの第4回目として『エンディングノートの作成』についてお伝えしました。
エンディングノートの作成は、その作成の過程での
自分自身の人生を振り返る
残される家族のことを考える
友人・知人・今までお世話になった人たちへの思いをつづる
やり残したことや叶わなかった夢などを書き出す
余生を通じてできること・できないことの整理に繋げる
ことがとても大切になります。
そしてそれは何も最期を迎える瞬間のことだけではなく、自分自身の人生を振り返ることで
新たな夢を実現するためにより元気になりたいという意欲が湧いてくる
ことにも繋がってきます。
また、作成過程での
家族とのコミュニケーションの足りない部分を補ってくれる
ということも、非常に大きな役割を担ってくれます。
この『終活』シリーズを通じて、自分自身あるいは身近な人と『終活』について話をしてみて、これからの人生の過ごし方について少し考えてみてはいかがでしょうか。
皆さんの貴重なご意見・ご感想、大変参考になりますので、お気軽にコメントなどいただけると嬉しいです。
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