新米小坊主の小話 たくさん集めてたくさんの人に分かつことの大切さ

こんにちは。広島の作業療法士の川本健太郎です。

今日は、高野山真言宗 僧侶の川本祐道(ゆうどう)として、仏教に関するちょっとした小話(こばなし)をします。

サクッと読めるように心がけていますので、お気軽に読んでみてください。 

(*´▽`)ノノ

今日のアイキャッチの画像は、高野山 根本大塔(こんぽんだいとう)の写真です。

(*^-^*)

 

たくさん集めて、たくさんの人に分かつのが密教の『大欲』の教え


 

仏教の教えの中には

 

欲を捨てなさい

 

という考えを持つものが多いと思います。

でも、密教では

 

欲を持つことを否定しない

 

ことが大切とされています。

ただし、ここでの『欲』というのは、自分の好き勝手にすることや、周りの迷惑を省みないことといった、利己主義になることを指しているのではありません

たくさん集めて、たくさんの人に分かつという

 

『大欲(たいよく)』を持つことが大切

 

だと説いているのです。

それは、お大師さまが師匠である恵果和上(けいかわじょう)について述べている碑文

 

『大唐都青龍寺故三朝國師灌頂の阿闍梨恵果和尚の碑』

 

からもうかがい知ることができます。

恵果和上とお大師さまについては過去のブログも参考にしてみてください

↓ ↓ ↓

 

お大師さまが記した碑文によると

「恵果というお方は、財宝やお金を貢(みつ)がれても、決してそれを貯えず

そのお金で大曼陀羅(だいまんだら)を建てたり

僧侶の住むところや修行するところを建てたり

お堂の修理に使っていました。

貧しい人にはご飯を与え

精神的に貧しい人には仏様の教えを授けました。

物を与えても良いが僧侶というのはもともと物を施す者ではないから

財産を蓄えてこれに執着してはならないと言っていました。

身分の高い人も低い人も

等しく仏様の教え、すなわち仏法(ぶっぽう)を与え

寺の門を叩いて来る人は

初めは絶望して寺に来るのだから

門を出ていく時には

満ち足りた気持ちになって帰す

そんなお方でした。」

 

お大師さまの

 

『虚(むな)しく来たりて、満ちて帰る』

 

の言葉には、恵果和上から教えられたことがそのまま込められていると言えます。

 

求められるものを、与えられるほどに持つ

 

そのためには物心両面において、大きく大きくなることが大切なのです。

そして大きくなったものをたくさんの人に分かつことこそ、密教の『大欲の教え』です。

 

現代社会は経済が発展してきた一方で、物やお金や時間を得ることに一喜一憂し、精神的にストレスをためてしまい、何のために自分は生きているのか分からなくなってしまっているのは仕方のないことかもしれません。

でも、自分自身が誰かの役に立っていることで、人は生きがいや自分の存在価値を見出すのではないでしょうか。

 

 

<お大師さまゆかりの地>

 

高野山 宿坊 萱堂 上池院

(からどう じょうちいん) 

<画像引用:mashirakiさんのブログより>

上池院は高野山が開山した1200年前にお大師さま自らが開かれた寺院です。

御本尊の千手観音像はお大師さまの作とされています。

寺の敷地内には、お大師さまが唐から持ち帰ったと言われる沙羅双樹(さらそうじゅ)の木があります。

<上池院の紅葉:画像引用 上池院ホームページより>

秋には敷地内の紅葉が大変きれいなことでも有名です。

お大師さまが高野山を開く際に三十三ヶ月仮住まいした地とされ、また平安時代の末期に高野山の復興に力を注がれた興教大師・覚鑁(こうぎょうだいし・かくはん)が訪れ、お二人がわらじを脱いだところから「ぬれわらじの寺」とも呼ばれています。

所在地:〒648-0211 和歌山県伊都郡高野町大字高野山476

お問い合わせ:0736-56-2318(TEL) 0736-56-4545(FAX)

交通アクセス:上池院ホームページ

 

 

皆さんの貴重なご意見・ご感想、大変参考になりますので、お気軽にコメントなどいただけると嬉しいです。

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