その発熱大丈夫!? 発熱時の注意点と対応方法

こんにちは。広島の作業療法士の川本健太郎です。

医療従事者でもある作業療法士は、患者さん・利用者さん・ご家族の体調の変化を常に見逃さないように注意しています。

また、この記事を投稿している時期はちょっとした体の変化に敏感になっていると思います。

特に

 

発熱

 

に関しては、何を基準にどう判断して対応したら良いのか、難しいところでもあります。

新型コロナウイルスに関連した発熱に関することでは

 

風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続く場合(解熱剤を飲み続けなければならないときを含みます)

 

高齢者をはじめ、基礎疾患がある方や透析を受けている方、免疫抑制剤や抗がん剤など用いている人では

 

風邪の症状や37.5度以上の発熱が2日程度続く場合

 

には、「帰国者・接触者相談センター」へ問い合わせることが推奨されています(2020年4月15日時点)

 

そもそも発熱とはどんな状態を言うのでしょうか。

今回は発熱に関する基本的なお話と注意点、対応方法についてお伝えします。

 

発熱とは


 

体温は、脳にある視床下部の体温調節中枢によって一定に調整されています。

要するに

 

体温は脳で調整される

 

ということです。

体温調節中枢によって設定された体温の基準を

 

セットポイント

 

と言います。

そして、実際の体温がセットポイントと等しくなるように

 

熱を作る(熱産生)

熱を発散する(熱放散)

 

を行うように命令を出します。

例えば

 

屋外の温度が上がる→「汗をかけ」「血管を広げろ」と命令が出る→熱を放散する→体温を下げる

 

といった流れです。

<図引用:看護roo!

しかし、なんらかの原因でセットポイントが上昇して、設定された温度まで体温が上昇した状態のことを

 

発熱

 

と言います。

一方、体温調節中枢に作用されるものではなく、類や高温環境やうつ伏せ寝など外的要因によって急激に体温が上昇した状態

 

うつ熱

 

と言います。

うつ熱では

 

セットポイントの上昇は無い

 

ことが特徴です。

うつ熱の代表的なものは熱中症です。

 

発熱の基準


 

平熱の基準は

 

36.5±0.5℃

 

とされています。

一方、発熱の基準は個人の平熱によって異なりますが

 

  • 微熱:37.0〜37.9℃
  • 中等熱:38.0〜38.9℃
  • 高熱:39.0℃以上

 

が目安となります。

 

ただし高齢者は新陳代謝が低下していることから

 

平熱が低い傾向にある

 

ことに注意してください。

 

体温測定の注意点


 

体温は、一般的に

 

早朝は低く夕方高くなる傾向

 

にあります。そのため

 

0.5℃の誤差は許容範囲

 

と考えてください。

ただし、

 

1日のうちの変化(日内変動)が1.0℃以上あると異常

 

と考えてください。

また、測定する部位・姿勢・状態などによっても値が変化します

測定する部位での体温の変化は(36.5℃を平熱とすると)

 

腋窩温(脇の温度)36.5℃<鼓膜温36.5〜37.0℃<口腔温(口の中の温度)37.0〜37.5℃<直腸温38.0℃

 

と測る場所によって変化します(数値はあくまでもおおよその目安です)。

 

測定する姿勢での体温の変化は、例えば横向きで寝ている状態で体が下になっている側で体温を測ると、圧迫を受けている場所では血流が阻害されているため

 

体温は低く測定される

 

傾向にあります。

これは、脳梗塞などで麻痺が生じている側でも同じように血流の低下が生じていることが多いので、体温測定の時には

 

非麻痺側(麻痺をしていない側)で測定する

 

ことに気をつけましょう。

 

発熱をきたす疾患


 

発熱の原因は多くありますが、大部分は

 

感染症

 

です。

しかしながら、発熱の原因をすぐに感染症と決め付けるのではなく、感染性のものではない(非感染性)ことも気をつけなければなりません

概ねの基準としては

 

2週間以内の発熱は感染症であることが多い

 

2週間以上の発熱は悪性腫瘍や膠原病(こうげんびょう)であることが多い

 

です。

以下に発熱を来す疾患を表にまとめています。

 

発熱の熱型


 

発熱の熱型は主に3つに分類されます。

 

稽留熱(けいりゅうねつ)

1日の体温の変動が1℃以内で長期にわたって高熱状態が続く状態。

 

弛張熱(しちょうねつ)

1日の体温の変化が1℃以上で平熱までなかなか下がらない状態。

 

間欠熱(かんけつねつ)

1日の体温の変化が1℃以上あっても、平熱に下がることもある状態で、一定の間隔で体温が上がったり下がったりを繰り返す(間欠)状態。

一般的なウイルス性感染症は間欠熱の熱型をとることが多いため、新型コロナウイルス感染症に関して、初期症状があっても熱が一時的に下がることがあるため

 

「熱が下がったから大丈夫」

 

と自己判断した結果、ウイルスを拡散させてしまうことが最も懸念されていることです。

 

以下に熱型を表にまとめています。

 

他にも

 

抗生物質

解熱剤

副腎皮質ホルモン

 

などを投与している人は、典型的な熱型とはならないことに注意してください。

 

発熱時の観察のポイント


 

発熱時の観察のポイントを次の4つにまとめています。

この4つの何か、もしくは複数の項目に当てはまる場合は、医療機関への受診が必要です。

 

1.何かいつもと違う、という第一印象がとても重要

顔が青くなる・冷や汗をかく・脈拍が速くなったり(頻脈)するといった

 

ショック症状

 

呼吸困難などの

 

呼吸不全

 

意識がボーッとする・問いかけへの反応がないなどの

 

意識障害

 

を伴う場合は、緊急度が高いと判断します。

 

2.震えなどの症状が見られる

体がゾクゾクしたて寒気がする(悪寒:おかん)、ガタガタ震えるような症状(シバリング)を伴う高熱では、

感染症が全身に広がっている可能性があります。

 

3.基礎疾患や内服薬での注意点

糖尿病や血液疾患患者、副腎皮質ステロイドや抗腫瘍薬服用中の利用者は

 

免疫低下

 

を生じているので、必ずしも高熱が見られるとは限らず、

 

微熱でも重篤(重症)となっている

 

こともあるので基礎疾患や内服治療中の人の発熱に関しては注意が必要です。

 

4.高齢者で注意したいところ

 

高齢者は感染症にかかりやすいのですが、基本的な代謝能力の低下、免疫不全、さまざまな基礎疾患を抱えていることから

 

発熱がわかりにくい

 

ことが多く、自覚症状を伴わないことも多いので、観的な訴えだけではなく

 

客観的な情報(体温測定、発汗の有無、表情・言動・行動の観察など)

 

を加味しておく必要があります。

 

発熱時の対応方法


 

発熱時には前出の『発熱時の観察のポイント』を参考にしていただきながら

 

1.体温を測定する

発熱があった場合には体温を測ることは皆さんされると思いますが、その際には

 

どの部位で測定したか

 

をチェックするようにしてください。

前出の『体温測定の注意点』でもお伝えしましたが、測る時間帯や測る部位によっては測定値に差が出てきます。

 

できるだけ同じ部位での測定が望ましい

 

ことを認識しておいてください。

医療機関への問い合わせや受診の際には

 

何時にどの部位で測定したか

 

を伝えると、より正確な情報を医療機関に伝えることができます。

 

2.発熱時の状態をよく観察する

前述の『発熱時の観察のポイント』を参考に、発熱時の状態をよく観察してください。

子供の場合では

 

機嫌が悪い

 

寝つきが悪い

 

食事を嫌がる

 

など、いつもと違った反応や行動をする時には急に熱が上がる場合があるので要注意です。

逆に

 

食欲がある

 

意識がはっきりしている

 

水分摂取も行えている

 

下痢や便秘などの症状がない

 

などの場合は、すぐに解熱剤を飲むのではなく、経過観察をしてから医療機関への受診を考えても良いと言えます。

 

3.必要があればクーリングを行う

一般的に、発熱時に氷枕などで頭部を冷やすことは皆さんもされていることかと思います。

ただしこの方法はあくまでも

 

本人の苦痛を和らげる

 

体温の過剰な上昇を防ぐ

 

ための一時的な対応方法なので

 

体温を低下させるわけではない

 

ことに注意してください。

むしろ、着ているものや掛けている布団を調整したり、水分を適切に補給したりすることの方が大切になってくることの方が多いです。

また、発熱を来す疾患や熱型ふるえや悪寒といった症状によっては

 

クーリングは禁忌

 

ですので、基礎疾患を抱えている人や発熱のタイプをよく観察して、医療機関に問い合わせをして指示をもらうようにしましょう。

 

4.発熱原因と思われる内容を把握しておく

発熱にはなんらかの原因があるものと、原因がわからないもの(不明熱)とがありますが、多くの場合はなんらかの原因が考えられます。

 

昨日食べたものや飲んだもの

 

発熱前にあらわれた発熱以外の症状(寒気がした、吐き気がした、眠れなかった、筋肉痛があったなど)

 

基礎疾患の有無(病院でなんらかの治療をしている、定期薬として服用しているものがあるなど)

 

など、発熱の原因と考えられるものをできるだけ正確に把握しましょう。

 

5.医療機関への受診

発熱がある場合には、なんらかの病気があると考えなければなりません。

しかしながら、40℃あるから重症であるというわけではないですし、38℃だから安心というわけでもありません。

体温測定で出される数値はあくまでも目安であって、

 

本人の具合をみる

 

ことが最も大切になってきます。

前出の『発熱時の対応方法』の1〜4を参考にしながら

 

水分が摂れない

 

意識がおかしい

 

嘔吐や下痢がおさまらない

 

呼吸困難や痛みなどの激しい苦痛を伴う

 

などといった場合には、速やかに病院を受診することをお勧めします。

発熱時の受診の目安については、メディカルノートに分かりやすく掲載されていますので、そちらも参考にしてみてください。

また、新型コロナウイルスに関しては、全国「帰国者・接触者相談センター」へ問い合わせることが推奨されていますのでそちらも参考にしてみてください(2020年4月15日時点)。

 

まとめ


 

今回は発熱に関する基本的なお話と注意点、対応方法についてお伝えしました。

新型コロナウイルス感染症が広がる中、発熱した場合のことを考えるととても神経質になっていると思います。

こういった状況だからこそ、冷静に対応することが求められていますし、慌てて病院受診をすることでかえって病気にかかってしまうこともあります。

発熱時にどのような対応をすれば良いのか、この記事が少しでも皆さんのお役に立てたらと思います。

 

 

皆さんの貴重なご意見・ご感想、大変参考になりますので、お気軽にコメントなどいただけると嬉しいです。

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2 件のコメント “その発熱大丈夫!? 発熱時の注意点と対応方法

  1. 今日も有り難うございます。いつも気になっていることを分かりやすく解説してあり、とても参考になります。最近は体温計もが品薄になるくらい皆さん、会社や学校に申告する為に買ったようですが巷では次に品薄になる物は何かを予想しあっているのを聞きます。アベノマスクが届きましたら私も寄付したいと思っています。医療従事者の方々もどうかお身体、ご自愛くださいませ

    1. やまおさん
      いつもコメントをありがとうございます^^
      健康管理のための検査器具など、新型コロナの影響でさまざまなものが不足してきていますね。
      必要な方に必要な資源が行き渡ることを願っています。
      マスクに関してはお気持ちだけで大丈夫ですよ。ご自身でしっかりと使ってください。
      またコメントをいただけますとありがたいです(*^^*)

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