作業療法士の仕事は、どれだけ相手が作業療法に対して『やる気』になってくれるかにかかっています。
どれだけ正しいことを相手に言っても、『やる気』に繋がらなければ、誰も作業療法を受けたいとは思いません。
『相手のやる気を引き出す4つのコツ』の第一回目と二回目では、『相手のことをよく観察する』『相手に合わせていろいろと工夫する』についてお話をしました。
今回は第三回目として『しっかりと具体的に褒める』についてお伝えしようと思います。
第三回目まで読んでくださった方はお分かりかと思いますが、今までにお伝えした『相手のことをよく観察する』『相手に合わせていろいろと工夫する』と今回の『しっかりと具体的に褒める』と次回の『根気強く待つ』はそれぞれお互いに関係し合っています。
そのことも含めて今回も、私が担当した事例を参考にお伝えします。
今回の事例はかなり長めの話になりますが、大切な内容が含まれています。
でも事例が長く感じて結論だけが欲しいと思う方は、目次から目的の項目までジャンプしてくださいね。
目次
『しっかりと具体的に褒める』〜事例を通じて学ぶ〜
ケンくん(仮名)は中学2年生の男の子です。
ケンくんは、白血病という病気で病院に入院していました。
白血病とは、何らかの原因で、がん化した細胞(白血病細胞)が無制限に増えてしまって、内臓などに深刻なダメージを与えてしまい、命にも関わる病気です。
ケンくんは小学校6年生の時に、白血病と診断され、それ以来、入院と退院を繰り返していたのですが、中学1年生の終わり頃から急に病状が悪くなって、それ以来1年近く病院に入院していました。
他の病気にもかかりやすいこともあって、自分の部屋から出ることも少なく、同じ年頃の子供たちが学校で学んだり遊んだりしている中で、ケンくんは一人でいることがほとんどでした。
ベッドの上での生活が多かったので、歩ける力も徐々になくなり、車いすで移動することが多くなりましたが、車いすに乗ることもだんだんしなくなってきました。
家族をはじめ、医師・看護師・理学療法士・臨床心理士といった医療スタッフが、ケンくんになんとか少しでも元気になってもらうために、部屋から出ることを勧めても、
「嫌だ。どうせつまらない」
「この先、生きてるか分からないのに、勉強することに意味がない」
「いちいち答えるのがめんどくさい」
「歩けるようになったからって、何?僕はいつ死ぬか分からないんでしょ」
と言って、布団から出ようとしませんでした。
感情にとても敏感な『思春期(ししゅんき)』と言われる時期に、病気で長く自由を奪われてしまったことに対して、ケンくんは投げやりになっていたようでした。
ケンくんがそんな気持ちになることは、同じように長い病院生活で骨肉腫という病気と向き合った私には痛いほど伝わってきました。
『でも、なんとか、ケンくんには生きることの希望を持って欲しい』
これは、ケンくんに関わっている人たちみんなの願いでもあり、おそらくはケンくんの本心でもあったように思います。
そこで、私はまず、ケンくんの部屋に時間をみては会いに行くようにしました。
ケンくんの気持ち
私が最初にケンくんに会った時、ケンくんから言われたことは
「帰ってよ。誰、あんた?作業療法?何それ、意味分かんねーし」
でした。
私は作業療法についての説明も、優しい言葉も、励ます言葉もかけるわけでもなく、サバサバした表情で
「ケンくんが気になったから来ただけ。また来るわ」
とだけ伝えて、その場を離れました。
それから10日くらい、同じようなやり取りを続けました。
その10日間、ケンくんのお母さんやお父さん、医師や看護師といった医療スタッフからいろいろな話を聞いて、ケンくんに関する情報を集めることに時間をかけました。
そこから分かってきたことは
①自分だけ、なんでこんな病気になったのかということへの苛立ちや不安がある
②ケンくんはおじいちゃんが大好きでおじいちゃんとよく将棋をしていたけど、おじいちゃんの体の具合があまり良くなくて1ヶ月に2回くらいしか面会に来てくれない
③お母さんに甘えたいけど、妹がまだ小さいのでお母さんが妹にかかりっきりになっている
④お父さんをもっと頼りたいけど、自分の病気のせいで仕事がますます忙しくなってしまっていることが辛い
⑤勉強することの大切さは分かっているけど、将来に希望が持てないから勉強する気になれない
といったことでした。
私は、ケンくんが頑なに心を閉ざしているのは、根っこの部分では『寂しさ』『孤独感』があり、その気持ちをどう行動に移せば良いかが分からず、投げやりな言葉や行動になっていたと考えました。
ケンくんと過ごす場を作る
ケンくんに関しての一通りの情報と状況が分かって、また私はケンくんの部屋に行きました。
ちょうど、お昼の配膳の時だったので、お母さんと看護師に頼んで、私がケンくんの昼食を持って部屋に行きました。
ケンくんの食事とともに、自分の弁当も持って行きました。
部屋に入るとケンくんは驚いたような顔で
「おっさん(←私のことです)、何してんの?給食係にでも転職したん?」
と言われたので
「たまには気分を変えて、ここでケンくんとお母さんとで飯を食いたいと思って来たんよ。いけんか?」
と言い返すと、呆れたようにケンくんはお母さんの顔を見ました。
お母さんは
「ほら、いつもケンはお母さんと一緒にご飯食べるじゃない。たまには気分を変えてみるのもいいかと思って、川本先生の申し出を受けたのよ」
と言いました。
もちろん、お母さんには私が何をしたいかは伝えていました。
たぶん、ケンくんと私だけだったら、ケンくんは一緒に食事をすることは絶対にしないと思い、これがきっかけでうまくいくかいかないかは半々くらいの気持ちでケンくんとお母さんと私とでお昼ご飯を一緒に食べる場を作りました。
「僕から話すことは何もない。勝手にすれば。ご飯がマズくなったら、おっさんのせいだからね!」
とケンくんは少しふくれっ面でしたが、その場を一緒に過ごすことは受け入れてくれました。
私は食事をしながら、
自分が16歳で骨肉腫という病気にかかってケンくんが今入院しているこの病院で1年以上闘病生活を送ったこと、
抗がん剤の副作用で苦しんだこと、
闘病生活の中で同じ病気で同じ年代の子が5人いたけど生き残っているのは私だけということ、
右足を切断して義足での生活になったこと、
私の退院後すぐに父親が病気で急死したこと、
作業療法士になったこと、
などを話しました。
ケンくんのお母さんは時折目に涙を浮かべながらも私の話をとても熱心に聞いていました。
ケンくんは、私の顔は一切見ずに、ご飯を食べながらずっとお母さんの顔を見ていました。
一通りの話をし終えた時、お母さんから
「ケンは甘えん坊なのですが、元々しっかり者なんです。
こんなにも弱気になって、何もする気にならないのが、情けないというか、母親としてなんて声かけをしたらいいのか分からない時があるんです。
私がケンに代わってあげれるものなら代わってあげたいんです」
と心の内をケンくんの前でお話しされました。
私はお母さんに対して
「ケンくんは頑張ってるじゃないですか。
少なくとも、ケンくんは
『生きることを諦めていない』
ですよね。
自分のためでもあるけど、家族のためにも。
お母さんも家のことやケンくんの妹の世話もしながら、毎日欠かさずにケンくんのところに来られているじゃないですか。
十分すぎるほどケンくんもお母さんも頑張っていると思いますよ」
とお伝えしてその場を離れました。
ケンくんが少しずつ変わり始める
昼ごはんを一緒に食べた翌日、いつものように私はケンくんの部屋に行きました。
ケンくんは前日までのようなふてくされた顔ではなく、少しうつむいていました。
私がいつものように挨拶をすると、ケンくんは
「おっさん・・・いや、川本先生。
僕、おじいちゃんとまた将棋がしたい。
おじいちゃん、体の具合が悪くて元気がなくって・・・。
たまに来てくれた時に、将棋をするけど、僕、将棋がそんなに上手くなくて、いつもおじいちゃんが勝つんだ。
でも、おじいちゃんは勝った時にとてもすまなそうな顔をするんだ。
だから『そんなに勝って嬉しくないなら、もう将棋をしなきゃいいじゃん!』っておじいちゃんに言っちゃって。
それからおじいちゃん、体がますます悪くなったような気がして。
だから、僕がちゃんと将棋ができて、おじいちゃんに勝てるくらいになったら、またおじいちゃんが元気になるかなって。ダメかな?」
と言いました。
ケンくんのいじらしさが伝わって来るとともに、これならイケると私は思いました。
私は自分のじいちゃんの影響もあって、長い間将棋を続けていたこともあり(リンク:『将棋』から学んだ人生のこと〜他人の視点で自分をみて考える〜)、日本将棋連盟のアマチュア初段も持っていてある程度の将棋の指導はできたので、将棋を通じてケンくんがこれからの目標を作れると考え、ケンくんに
「じゃあさ、
『おじいちゃんに将棋で勝つ』
ことを目標にしようよ。
でも、この狭いベッドのところじゃ、将棋盤も使えないから、デイルーム(イスとテーブルがあって、みんながくつろげる共有場所)で将棋をしようよ」
と提案しました。
これは少しでもベッドから起き上がって動く機会を増やすための狙いもありました。
ケンくんは
「教えてくれるの?じゃあ、今から行きたい!」
と言ってくれたので、私はケンくんをデイルームに案内しました。
その日のうちにデイルームで将棋を2回(2局)ほど指しましたが、ケンくんはなかなかのセンスがありました。
でも、2手先や3手先を読むことがまだまだ未熟であり、『囲い』という自分の『王将』を囲む陣形もあやふやであり、攻めることに集中していると守りが薄くなり、守ることに集中していると攻めきれないといったレベルで、アマチュアでいうところの4級〜5級程でした。
最初の将棋の時間を終えた時に、私はケンくんに
「私の指導は厳しいよ。でも、ケンくんが一番早く目標に届くのには、私と一緒に将棋をすることが一番近道だと思うけど、どうする?」
と聞きました。
ケンくんは
「僕、頑張る。他のことはまだする気になれないけど、将棋は頑張りたい」
と答えました。
私は毎日同じ時間にデイルームまで来るようケンくんに伝え、私自身はデイルームでいつも待つことにして、デイルームまでのケンくんの介助はお母さんや看護師にお願いしました。
それからというもの、ケンくんは毎日決められた時間にデイルームに来るようになりました。
最初はベッドから起きて車いすに乗るのもおぼつかず、部屋からデイルームまでの20mくらいの距離の車いすでの移動もお母さんや看護師に手伝ってもらっていましたが、数日もしないうちに
「次からは僕一人で行けるよ」
と言い、お母さんも看護師も手伝うことなくデイルームまで来れるようになりました。
私との将棋の時間は1日2回(2局)程度でしたが、将棋の勝ち負けではなく、
ケンくん自身がどんな指し方をしているのか、
どこを改善すれば良いか、
どんなところが良いところか
を将棋という具体的な道具を使って伝えていきました。
この時、私が心がけたのは、
単にケンくんの頑張りを褒めるだけではなく、『おじいちゃんに将棋で勝つ』という目標がブレないような言葉がけ
をするようにしました。
例えば、
「この駒の指し方はよかったね。でも、この別の駒を使ったらどうだったと思う?」
という『YES・BUT』の伝え方ではなく、
「この駒の指し方はよかったね。じゃあ、この別の駒を使ったらどうだったと思う?」
という『YES・AND(SO)』の伝え方をして、
褒めた言葉(YES)の後に否定(BUT)する言葉を繋げない
ように工夫をしたり、
「ケンくん、将棋が上手くなったねー!1ヶ月前と比べても、はるかに駒の動かし方が良くなって、2手先や3手先まで相手の動きを読めるようになっているね。
これならおじいちゃんと将棋をしても、勝てるのもそんなに遠くの話じゃないよ!」
といった、『しっかりと具体的に褒める』ことを続けました。
ケンくんの病気の症状は日によっても違いがあり、とても体が疲れてる時もありましたが、私との将棋の時間を休むことはほとんどなく、みるみるうちに将棋が強くなりました。
また、ベッドから起き上がって車いすで移動することが自分の力でできるようになっただけではなく、将棋の指導を受けている合間に、デイルームの共有の給水器からケンくんと私の飲み物を『歩いて』持って来られるくらいまでになりました。
『しっかりと具体的に褒める』〜ケンくんから学んだこと〜
ケンくんとの将棋の時間を作って3ヶ月、久しぶりにケンくんのおじいちゃんが面会に来てくれました。
おじいちゃん以外の人は、ケンくんがこの3ヶ月の間、とても頑張っていたことは知っていました。
ケンくんはおじいちゃんに
「おじいちゃん、僕と将棋をしようよ!」
と言って、おじいちゃんをデイルームに誘い出してくれました。
おじいちゃんは、3ヶ月前までベッドの上でふてくされていた孫に何があったのか、驚いたような顔をしていましたが、ケンくんの誘いがとても嬉しかったようです。
何よりおじいちゃんが驚いたのは、おぼつかない足取りながらも、部屋からデイルームまでケンくんが『歩いて』おじいちゃんの手を引いていったことでした。
私はデイルームで将棋盤をセットして、ケンくんとおじいちゃんとお母さんを待っていました。
デイルームには今回の話を聞きつけた、医師や看護師や理学療法士も来ていて、ことの成り行きを見守っていました。
ケンくんとおじいちゃんはイスに座り、対局が始まりました。
数手ほど指しているうちに、おじいちゃんの顔色が明らかに変わり、それまでの温和な顔から真剣な顔に変わっていました。
局面が進むうちに、おじちゃんから
「うーん・・・・いやはや・・・」
と言った言葉が聞かれるようになり、明らかにケンくんが優位になっていました。
115手まで進んだところで、おじいちゃんから
「参りました」
とケンくんに一礼をするとともに
「ケン、お前、こんなに強くなって・・・なんて言ったらいいか。本当にありがとう」
と目に涙を浮かべながら、ケンくんの両肩に手を置いてしっかりとケンくんに言葉をかけていました。
ケンくんは少し照れたような顔をして
「この3ヶ月、おじいちゃんに勝てるように、僕、頑張ったんだよ。
そんでね、僕がここまで強くなったのは、『師匠』のおかげなんだよ!」
と言って、私の方を指差して、
「おじいちゃん、僕の『師匠』だよ!」
と言いました。
『あんた』→『おっさん』→『先生』→『師匠』とだいぶ私も出世したものだと思わず笑ってしまいましたが、おじいちゃんからは
「川本先生、本当にありがとう」
と私の両手を握って何度も何度もお礼の言葉を言ってくださいました。
お母さんは涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、看護師と喜びを分かち合っていました。
対局を全て見ていた医師や看護師や理学療法士からは
「びっくり!こんなに将棋が強かったんだ!すごいよ!今度は私にも将棋を教えてよ!」
と言われ、ケンくんは満足そうな顔をするとともに、
「良いよ、教えてあげる。でも、僕はもっと強くなって、いずれは『師匠』を超えるんだから!」
と少し得意そうな顔をして言いました。
そこには、もう、部屋に閉じこもりっきりのケンくんはいませんでした。
その後、おじいちゃんも少しずつ元気になり、ケンくんは『日本将棋連盟』の会員になり、アマチュアの1級を取得するまでの将棋の腕を上げ、将来『プロ棋士になる』という夢に向かって頑張るようになり、入院から2年後に無事に退院しました。
ケンくんが『将棋』というきっかけから『やる気』を出して行動に移すために、私は
1.相手のことをよくみる=『よく観察する』→ケンくん自身とその周りのことをよく観察する
2.相手に合った接し方や話し方をする=『いろいろと工夫する』→ケンくんが『将棋』に興味が向いてそれに向けていろいろな取り組みができる場の工夫をする
3.相手に合った褒め方をする=『しっかりと具体的に褒める』→『YES・BUT』ではなく『YES・AND(SO)』の伝え方をすることや、目標に向けて何ができているかを具体的に褒めることをする
4.相手の話をじっくり聞くことをする=『根気強く待つ』→ケンくん自らが言葉や行動に移すまでケンくんを信じて根気強く待つ
ことを常に行った結果、ケンくんもお母さんもおじいちゃんもみんなが良い方向に進むことができたのではないかと思います。
何について褒めているのかをはっきりさせる
「すごいねー」
「頑張ったねー」
は、誰でもよく使う言葉かと思います。
これは『感情』に働きかけるもので、相手に『共感』する時にはとても大切な表現です。
相手の『頑張り』や『努力』を褒めるだけならば、褒める時の最初の反応としては、この言葉で十分です。
でも、これだけだと『何を褒めているのか』がわからないですね。
ここでもうひと工夫をして欲しいのが、『具体的に何を褒めているのか』をはっきり伝えることです。
特に、仕事や教育の場で相手を褒める時には、『頑張り』『努力』といったものだけではなく、『どんなプロセス(経過)をたどっているか』と『どんな成果(目標)に繋がっているか』ということを褒める時に 相手に伝えることが大切です。
実は『頑張り』『努力』といった『感情』に関することだけを褒めていると、褒められた相手は『頑張り』『努力』だけを認めてもらいたいと望むようになり、それがなんの役に立っているのかも分からずにエネルギーを使い果たしてしまうことが多いのです。
その結果
「頑張っているのに、ぜんぜん良くならない」
「努力しているのに、認めてもらえない」
となって、『やる気』が一気に失せてしまうことが多いのです。
また、人によっては『頑張り』『努力』だけを褒められていると、『できているつもり』になってしまうことがあります。
この『できているつもり』はとても危険な考え方で、この『できているつもり』が強くなりすぎると、周りからアドバイスをされた時に
「私はちゃんとしています!」
「余計なアドバイスは必要ないです!」
「あなたに言われる筋合いはないです!」
と感情的になってしまい、『やる気』どころか人間関係までも失うことがあります。
なので、相手を褒める時には、『頑張り』『努力』といった感情に働きかけるものだけではなく、『プロセス(経過)』や『成果(目標)』の対しての言葉がけの工夫が必要なのです。
事例で出てきたケンくんも、ただ将棋の指し方が上手くなったことを褒めるのではなく、
「ケンくん、将棋が上手くなったねー!(←感情への働きかけ)
1ヶ月前と比べても、はるかに駒の動かし方が良くなって、2手先や3手先まで相手の動きを読めるようになっているね。(←プロセスの評価)
これならおじいちゃんと将棋をしても、勝てるのもそんなに遠くの話じゃないよ!(←目標の評価)」
と伝えたことで、ケンくんは頑張れたと思いますし、将棋以外の生活での変化への自信づけにもなったと思います。
ポイント!:相手を褒める時には『共感』だけではなく『具体的に何を褒めているのか』といった『プロセス(経過)』を伝えて『成果(目標)』を確認しよう! |
『YES・BUT』の表現と『YES・AND(SO)』の表現
次の2つの表現の違いはどこでしょうか。
A「君は話し方がとても上手だね。でも(しかし)、もう少しわかりやすい表現をしてみるのはどうかな」
と
B「君は話し方がとても上手だね。じゃあ、もう少しわかりやすい表現をしてみるのはどうかな」
一見すると、同じような表現ですね。
どちらも、相手のことを認めている(褒めている)ところから入っていますが、そのあとに繋がる言葉の表現が違います。
Aの方は、相手を認めていますが、『でも=BUT』と言い換えているので、この言葉を受け取る側にしてみたら、『自分の努力や成果を否定されている』と捉えることがあります。
これを『YES・BUT』型と言って、『相手を褒めているように見えているけど、相手のことを一部(もしくは全部)否定する』となってしまい、受け取る側の『やる気』を失わせてしまう恐れがあります。
一方、Bの方は、相手を認めた上で、『じゃあ=AND(もしくはSO)』と繋げているので、この言葉を受け取る側にしてみたら、『自分の努力や成果を認めてもらった上で、追加で何かをすればもっと良くなるかも』と捉えることができます。
これを『YES・AND(もしくはSO)』型と言って、『相手を褒めている上に、相手に合わせてよりよくなる方法を提案する』となるので、受け取る側がさらに『やる気』になる可能性があります。
実はこの『YES・AND(もしくはSO)』型の方法、ビジネスマンの中でもトップセールスをする人たちのやり方でもあります。
褒められて嬉しくない人はまずいません。
せっかく褒められたのであれば、気分良く仕事や勉強を頑張りたいですし、また、買い物もしたいですよね。
でも実のところ、人は褒められたことよりも、否定されたことに敏感に反応することが多く、いちど『否定された』と捉えてしまうと、その前に褒められていても、褒められたことは忘れてしまう傾向があります。
『YES・BUT』型も『YES・AND(もしくはSO)』型も、ちょっとした表現の違いですが、少し気をつけるだけで、受け取る側の『やる気』が全く異なってくることを知って欲しいと思います。
ポイント!:『褒める』+『否定』の『YES・BUT』型でなく 『褒める』+『提案』の『YES・AND(もしくはSO)』型 を意識して使おう! |
まとめ
今回は、『やる気を引き出す4つのコツ』のその3である
『しっかりと具体的に褒める』について事例を通してお話をしました。
『しっかりと具体的に褒める』ことは、今までのブログでお伝えした
『見えるところをよく観察する』だけではなく『自分では見てない(見えていない)ところも観察する』すなわち
『相手のことをよく観察する』
ことや、
『自分の価値観』ではなく、『相手の価値観』を大切にする、すなわち
『相手に合わせて工夫をする』
こととも関係しあっていますし、第4回目でお伝えする『相手の話をじっくり聞くことをする』すなわち
『根気強く待つ』
ともつながりがあります。
第1回目から第4回目までの記事が、少しでも皆さんのお役に立つことができればと思います。
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また、読者様からの質問は大変貴重な情報源です、記事の内容に関してご不明な点など、私の分かる範囲で良ければ、お答えしておりますし、私としても質問をいただくのはとてもありがたいです。
最後までブログを読んでくださり、ありがとうございます!
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川本さん、はじめまして。
作業療法士という仕事があるのですね。
いきなり このページを読ませていただいたのですが
本当に素敵な仕事ですね。
誰にでも出来る仕事ではないと思います。
そういう私も ちょっとその仕事に興味を持ちました。
他のところもまた読ませて頂きますね。
みずほさん、はじめまして。コメントありがとうございます♪
私の記事を通して作業療法士に興味を持っていただけたこと、とても嬉しいです。
みずほさん自身のことや、ご家族やご友人など周りの人たちのことを考えていると、意外と作業療法を身近に感じていただけることも多いと思います。
読んでいただいている記事も、作業療法の視点を少し入れつつも、作業療法に限らず誰でも活用できるようなことをお伝えしているつもりです。
またぜひ、お気軽にお立ち寄りください♪