こんにちは。広島の作業療法士の川本健太郎です。
いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
新型コロナウイルス、インフルエンザ、一般的な風邪などの感染症をはじめ、私たちは一生のうちに何度か病気にかかりますよね。
症状の軽いものから、症状の重いもの、癌などの悪性新生物・上皮内新生物といった命に関わるものまで、一言で病気と言ってもその発症条件や症状はたくさんあります。
こうした病気に対して、人間の体には
免疫力
が備わっており、免疫力が高ければ、それだけ病気にかかりにくい体になりますし、逆に免疫力が低ければ、病気にかかりやすくなってしまいます。
新シリーズ『免疫力』、第2回目は免疫力の主役とも言える『免疫の仕組み(自然免疫編)』についてお伝えします。
目次
免疫(immune)とは?
今では広く知られている『免疫』ですが、そもそもなんのことをいうのでしょうか。
免疫(immune)とは
体に侵入した細菌やウイルスなどの病原体を攻撃したり
がん細胞の増殖を抑えて体を守ったりする働き
のことを言います。
*ちなみに、『免疫(immune)』と『免疫力(immune strength)』の違いについて、表現を含めて今でも議論がなされているところがありますが、このブログでは細胞レベルでの呼び名を『免疫』、『免疫』によってさまざまな働きがなされることを『免疫力』としてお伝えします。
免疫の主役は
白血球
であり、白血球は骨髄(こつずい)の中にある
造血幹細胞(ぞうけつかんさいぼう)
で作られ、血液やリンパ液に乗って体の中を巡回しています。
ちなみに、白血球は免疫細胞の総称でもあります。
体の中に張り巡らされたリンパ管(かん)と呼ばれる管には、ところどころに
リンパ節(せつ)
という小さな膨らみのようなものがあり、リンパ節は白血球にとって
活動基地の役割
も担っています。
ひとの体に関係する2つの免疫力
体に細菌やウイルスなどの病原体が侵入した場合や、がん細胞などが増殖し、免疫による攻撃が必要になった場合、ひとの体の中では主に2つの系統の働きで病原体やがん細胞などを排除しようとします。
生まれつきひとの体に備わっている免疫を
自然免疫
と言い、病原体の侵入やがん細胞を発見した時にまず働くのが自然免疫です(一次防衛機構)。
そして、自然免疫などの働きを受け、自然免疫によって発見された病原体などに対して
獲得免疫(適応免疫)
が働くことで、特定の病原体に対して直接的な攻撃や
抗体
などを用いて強い攻撃を行います(二次防衛機構)。
私たちの体は、主に
自然免疫
獲得免疫(適応免疫)
の2つの系統が互いに協力しあって守られています。
今回のブログでは、まず自然免疫の仕組みについてお伝えします。
自然免疫|生まれつきひとの体に備わっている免疫
私たちが生まれつき備えている自然免疫は
病原体の侵入に対していち早く反応し
敵とみなせば無条件に攻撃をしかける
のが特徴です。
体の中を常にパトロールしてトラブルから体を守ることから
体の中の警察
とも言われることがあります。
この自然免疫を担っているのは主に
好中球
樹状細胞
マクロファージ
ナチュラルキラー細胞(NK細胞)
といった免疫細胞たちです。
それぞれの免疫細胞たちの働きをみてみましょう。
好中球
好中球は体の中に侵入した病原体を捕まえて食べることを主な役割にしています。
好中球の中にはさまざまな酵素があり、その酵素の力で
病原体を分解・処理
して死滅させます。
獲得免疫であるヘルパーT細胞から産生された
サイトカイン
という生理活性物質によって、好中球の働きが活性化されます。
樹状細胞
樹状細胞は好中球と同じく、体の中に侵入した病原体を捕まえて食べることを主な役割にしています。
好中球と大きく異なるのは、捕食した病原体の破片を
抗原としてT細胞に提示する
という重要な役割を担っているというところです。
抗原とは、病原性のウイルスや細菌、花粉、卵、小麦などの生体に免疫応答を引き起こす物質のことであり
体に攻撃をしかける敵
とも言い換えることができます。
<出典:国立国語研究所>
樹状細胞も、好中球と同じく病原体を分解・処理しますが、好中球ほどの働きではありません。
マクロファージ
マクロファージは
単球
と呼ばれる血液内に存在する大型細胞が、血管内から体の組織内に移動して変化した細胞です。
マクロファージは好中球と樹状細胞の両方の特徴を持っており
侵入した病原体を捕食する
捕食した病原体の破片を抗原としてT細胞に提示する
病原体を分解・処理する
といった役割を担います。
ナチュラルキラー細胞(NK細胞)
ナチュラルキラー細胞(NK細胞)は非常に殺傷能力が高く、細菌やウイルスといった病原体だけでなく、がんなどの腫瘍細胞、細菌やウイルスに感染した細胞を
細胞ごと破壊する
ことで知られており
免疫力の要(かなめ)
とも言われています。
ナチュラルキラー細胞(NK細胞)は、古くからその存在は認識されていたものの、その実際の役割は約50年前に
がん細胞と免疫の関係を研究する中で発見された
細胞であり、がん細胞が体にとっての敵であることを記憶・学習しなくても
生まれ持った(ナチュラル)能力
でがん細胞を攻撃します。
がん細胞だけでなく
ウイルスに対する攻撃力の強さ
でも知られており、近年大注目されている
免疫力を高める上での鍵となる細胞
とも言われており、ひとにとって心強い味方でもあります。
自然免疫の中で
働いている時間が最も長い
とされ、全身をくまなくパトロールする姿は、警察というよりも一撃必殺の技を持つ
忍者 or 特殊部隊
のような存在とも言えます。
がん細胞は1日に5000個も発生すると言われていますが、それでもがんを発症しないのは、このナチュラルキラー細胞(NK細胞)の働きがあるからとされています。
まとめ
今回はシリーズ『免疫力』の第2回目として『免疫の仕組み(自然免疫編)』についてお伝えしました。
免疫の仕組みは複雑なところが多いため、まずは自然免疫についてお伝えしました。
次回は獲得免疫(適応免疫)についてお伝えするとともに
自然免疫と獲得免疫がどのように連携して病原体やがん細胞に対抗しているのか
をお伝えしたいと思います。
新型コロナウイルス、インフルエンザ、一般的な風邪などの感染症をはじめ、私たちは一生のうちに何度か病気にかかります。
できれば感染症や病気などにはかかりたくないものですし、普段からの心がけや取り組みによって、病気を未然に防ぎたいものです。
そのためにも、私たち一人ひとりの体に備わっている
免疫力
についての理解を深めるとともに、免疫力をしっかりと高めていきたいですね。
コロナ禍がひと段落をしても、感染症や病気から身をも守ることがとても大切になってくるということを私たち一人ひとりがしっかりと認識し、このシリーズを通して免疫力を少しでも高めることができるようになっていただければ、とても嬉しいです。
(ㅅ´ ˘ `)♡
皆さんの貴重なご意見・ご感想、大変参考になりますので、お気軽にコメントなどいただけると嬉しいです。
↓ ↓ ↓
ツイッターもしていますので、よろしければフォローをお願いします♪
↓ ↓ ↓
また、ブログランキングにも参加していますので、このブログがお役に立てたと思っていただけるようでしたら、
をポチッと押して応援をしていただけると大変ありがたいです。
最後までブログを読んでくださり、ありがとうございます!
この記事を共有する