【一期一会】◯◯博士

こんにちは。広島の作業療法士の川本健太郎です。

この記事は私の好きな言葉でもある【一期一会】をもとに、作業療法士としての日々の出会いや色々な思いを綴ったショートストーリーです。

思わずクスッと笑える話から、ちょっと心のどこかに届くような話しなど、サクッと読めるように心がけていますので、お気軽に読んでみてください。

(*´▽`)ノノ

 

◯◯博士


 

「これはのぉ、ずっと世話してきてるんよ」

 

利用者さんのご自宅に訪問する

 

訪問看護

訪問リハビリテーション

 

では、利用者さんや同居のご家族が長い間大切にされてきた物や、こだわりの品などを目にすることが多いです。

病気や障害などで以前ほどできなくなった

 

趣味

 

にまつわる物もそのひとつです。

『趣味』とひと言で言っても、私たちが考えているようなレベルではなく、もはや

 

◯◯博士

 

の域にまで達している方も珍しくなく、趣味の話題に触れると、とても詳しくその内容についてお話をしてくださいます。

ちなみに、お花やお茶などを当たり前のようにされていた年代の方もおられるので、その場合は茶道・華道・日本舞踊といったものは

 

嗜み(たしなみ)

 

として捉えておられるので、趣味ではなく日常生活にほぼ同化しているものと認識されている方が多いため

お花やお茶は趣味ですか?

と尋ねると

いえ、当たり前のようにしていたので、趣味とかでもないし、好き嫌いでもないです・・・。

と真顔で返されることもしばしばあります。

 

さて、趣味の話ですが、とても印象に残っているお話がありますので、少しご紹介させていただきたいと思います。

 


シゲオさんは長年消防士をされ、仕事一筋で定年まで勤め上げられましたが、定年後は家でぼーっとしていることが多くなり、奥さんは

このままだと認知症になってしまうかも。

と、とても心配されていました。

そんな時、知り合いから

 

盆栽

 

を勧められたシゲオさんは、見よう見まねで盆栽の世話を始めました。

ある日、たまたま見つけた盆栽の品評会に出展したところ

 

奨励賞

 

をもらったシゲオさんは、賞をもらったことの嬉しさよりも、品評会に出ていた素晴らしい作品を目の当たりにしてとても感銘を受けるとともに

わしもまだまだ修行が足らんのぉ。

と思い、早速行動に出たそうです。

 

盆栽に関するあらゆる本を読み

品評会と聞けば全国を駆け回り

盆栽で有名な先生の元に足繁く通う

 

など、その行動力には同居されていたご家族も大変驚かれました。

盆栽を始めて5年後、シゲオさんの家の庭は手塩にかけて育てた盆栽の数々が置かれるようになり、品評会に出品すると

 

数々の賞をとる

 

までになられ、盆栽の愛好家の方々からも一目置かれるようになりました。

 

しかしある日、シゲオさんは心臓の病で倒れてしまいます。

幸い、命に別状はなかったのですが、以前ほど起き上がって活動することが難しくなりました。

手塩にかけて育てた盆栽のお世話が思うようにできなくなり、シゲオさんはとても落ち込まれました。

そんなシゲオさんのことを心配した奥さんは、訪問看護・訪問リハビリテーションを利用されることをシゲオさんに勧められました。

シゲオさんの希望は

盆栽は、なんとか続けたいのぉ・・・

ということだったので、看護師と私は健康管理や身の回りの活動支援を行うとともに、盆栽ができるための

 

体力

集中力

休憩のとり方

 

などをシゲオさんと一緒に行いました。

それでも、以前ほどの盆栽の世話をすることができずに、お気に入りの盆栽を何点か手放さないといけない状況でした。

また、シゲオさんは物事を始めたからにはキッチリとしたい性格でもあったので、以前の自分と比べて思うようにできない自分自身に苛立つことが増えていました。

もう、こんなんだったら、盆栽をやめちゃろうか思う・・・

シゲオさんの不満は募るばかりです。

 

そんな時、かつてシゲオさんが足繁く通っていた盆栽の先生から一通の手紙が来ました。

それは、シゲオさんが病気になってから展覧会などでシゲオさんやシゲオさんの作品を見かけなくなったことを心配されて、盆栽の先生がシゲオさんを案じて出された手紙でした。

シゲオさんは盆栽の先生に、自身の近況を少しだけお伝えした上で、盆栽をやめようかと考えていることを添えて返信されました。

 

数日後、シゲオさんの家に一人の方が来られました。

なんと、あの盆栽の先生がシゲオさんを訪ねて来られたのです。

シゲオさんは先生を見てとても驚かれるとともに、自身の不安なところや盆栽に関する思いなどを先生に話されました。

先生はシゲオさんの話を黙って聞かれ、ひと通りシゲオさんが話し終えると次のように提案されたそうです。

あんたの気持ちはよう分かった。
じゃけど、せっかくの趣味で始めた盆栽をやめるのは、あんたにも良ぅないと思う。

わしとこであんたの盆栽をいくつか面倒みちゃるけ、世話できる盆栽を残しておくんはどうじゃろ?

先生からの思いがけない提案にシゲオさんは喜ばれました。

さらに先生からは

わしが盆栽の本に定期的に投稿しとる記事の一部をあんたが書いてもらえんかの?

とも言われたそうです。

シゲオさんは記事の作成には全く自信がなく、先生にお断りを言われたそうですが、先生から記事の作成は1回か2回くらいでいいからと言われたことや、自分の盆栽の世話を先生にお願いすることのせめてもの御礼の気持ちとして記事の作成を引き受けられました。

 

盆栽の直接のお世話は限られていましたが、記事の作成はシゲオさんの体力・気力がある時に作成すれば良かったので、シゲオさんにとって無理のない範囲での活動でした。

作業療法では、今まで行っていた活動に加えて

 

シゲオさんの記事作成のお手伝い

 

も一緒に行うことにしました。

専門的な記事内容について、私は全く分からなかったのですが、文章の構成や全体のバランスなどはシゲオさんにお伝えしながら一緒に作成していきました。

趣味の一環として始めた盆栽が、まさかこのような形で続けられるとはシゲオさんも思っていなかったと言われましたが

盆栽をしてなかったら、こんな出会いもなかったじゃろうね。

とも言われていました。

シゲオさんが作成された記事を何度か確認された盆栽の先生は、シゲオさんの盆栽にかける熱い思いと知識の豊かさに驚かれるとともに

あんたに頼んで正解じゃったわ。
あんたも立派な盆栽博士じゃね。

と最大限の賛辞でシゲオさんを励まされました。

以来、シゲオさんはずっと世話をしているお気に入りの盆栽と、不定期ではありますが先生から依頼された記事を作成されるようになり、シゲオさんの元には

 

「盆栽について教えて欲しい」

(人’v`*)オネガイ!

 

というお手紙が届くようになりました。

そして私が訪問する都度、お気に入りの盆栽のあるところまで私を案内されては

これはのぉ、ずっと世話してきてるんよ

と嬉しそうに私に話をしてくださいます。

 

趣味で始めた盆栽が、病気や障害によって思うようにできなくなっても、形を変えることで

 

再び自分の生きがいになる

 

ことも珍しくなく、その先には趣味の領域にとどまらず

 

◯◯博士

 

にまでなることを、シゲオさんを通じて教えていただいたように思います。

今日も私は患者さん・利用者さんの人生の伴走者として

 

一期一会

 

を大切にしながら、日々の仕事を続けています。

 

 

皆さんの貴重なご意見・ご感想、大変参考になりますので、お気軽にコメントなどいただけると嬉しいです。

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