こんにちは。広島の作業療法士の川本健太郎です。
今日は、高野山真言宗 僧侶の川本祐道(ゆうどう)として、仏教に関するちょっとした小話(こばなし)をします。
サクッと読めるように心がけていますので、お気軽に読んでみてください
(*´▽`)ノノ
唐から帰国したお大師さま
恵果和上から密教の正統な伝承者として、密教の秘伝の全てを伝授されたお大師さまは、恵果和上からの
「早く日本に帰って、この教えを広めて国の平安と人々の幸福のために生かしなさい」
の言葉を旨に、日本に戻りました。
帰国して、しばらくの間は、今の福岡県太宰府(だざいふ)市にある
観世音寺(かんぜおんじ)
に入られ、唐から持ち帰った仏像、曼荼羅(まんだら)、経典、法具を観世音寺で整理してまとめられました。
お大師さまが帰国した時、平安の都の基礎を作られた
桓武天皇(かんむてんのう:西暦737年〜806年)
が崩御(ほうぎょ:お亡くなりになる)され、息子である
平城天皇(へいぜいてんのう:西暦774年〜824年)
が即位され、さらに平城天皇の弟が皇太子となりました。
その皇太子がのちの
嵯峨天皇(さがてんのう:西暦786年〜842年)
です。
お大師さまは、帰国されてから観世音寺で密教の教典類をまとめ、そして京に入って平城天皇に拝謁(はいえつ:身分の高い人に面会すること)します。
通常であれば、天皇の政務を取り仕切る
朝廷(ちょうてい)
での遣唐使の報告会のような程度なのかもしれませんが、お大師さまは天皇に向かい、遣唐使で自ら得たことをきちんと話をされました。
「たかが一人の坊さんが何を喋るのか?」
(¬、¬)
といった朝廷内での空気もあったようです。
また、古くからの奈良の仏教である南都六宗(なんとりくしゅう)も依然として力を持っていたので、密教の教えを疑っている風潮もありました。
しかしお大師さまは話を続けられます。
唐に渡って密教の真髄を学び、恵果和上から正式にお大師さまへ
第八代の真言密教の伝法者
を恵果和上から『余すことなく』授かったことを報告し
平城京から平安京に遷都したことでの情勢不安
天皇自らが祈りを行わないと人々は救われない
真言行者はただ経典を読むだけではななく自ら赴いて、如来加持力(にょらいかじりき:仏様の癒しの力)を発揮して国家・天皇・国民全てを救っていかなければならない
といったことを切実に、それでいて丁寧に平城天皇に示されたという話があります。
その結果、謁見した平城天皇から、お大師さまは
密教を広めるように
との宣下(せんげ:天皇からの公式の命令)を賜りました。
お大師さまが平城天皇に拝謁した頃は、天皇が変わったばかりで政治を取り巻く環境も気が抜けない状態であり、また、南都六宗といった他の仏教宗派と考え方が違う中でありながらも協力すべきところは一緒に協力をしてもらわなければならない状況でした。
しかし、唐から帰国してすぐに観世音寺で密教に関する経典類としっかりとまとめあげ、いつでも天皇に上申できるように備えていたことや、自分の熱意をしっかりと伝えたことで、実際に天皇に拝謁された時に、お大師さまの上申されたことが平城天皇が受け入れられたのではないでしょうか。
たとえ自分の意見が通らない可能性があったとしても
与えられたチャンスで自分の持てるものをしっかり出せるように
そのための準備も怠らないように
することが非常に大切なことだと思います。
天皇に拝謁し、密教を広めるようにとの宣下を承ったお大師さま。
お大師さまは、時の権力者である天皇の支援を得ますが、当時の日本は、天皇の執務を取り仕切る
朝廷内での権力闘争
繰り返される洪水や疫病といった自然災害
といった、まさに大きな嵐の時代でもありました。
そして、のちに
薬子の変(くすこのへん)
という、天皇を巻き込む大きな動乱の渦の中にお大師さまも身を置くことになるのです。
<お大師さまゆかりの地>
笠和山 一乗院 霊山寺
(じくわざん いちじょういん りょうぜんじ)
聖武天皇(しょうむてんのう:在位724年〜749年)によって行基菩薩(ぎょうきぼさつ)が開創されたお寺であり、四国八十八ヶ所の第一番目の札所でもあります。
お大師さまが修行でこの地に立ち寄った際に、インドに仏様が住むという
霊鷲山(りょうじゅぜん)と同じと感じられ
「ここが日本の天竺(てんじく)だ」
と言われ、笠和山 霊山寺 と名付けられたという言われがあります。
所在地:〒779-0230 徳島県鳴門市大麻町板東塚鼻126
電話: 088-689-1111
交通アクセス:四国八十八ヶ所霊場會ホームページ
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