仲間の成長を一緒に喜ぶ

こんにちは。広島の作業療法士の川本健太郎です。

作業療法士として20年以上仕事をしていると、多くの後輩作業療法士と出会います。

私も作業療法士になったばかりの頃は、恩師の先生をはじめ、先輩作業療法士の方々にとても良くしていただきました。

ある時は厳しく、ある時は優しく、この道を進んでいる先輩として、惜しみないアドバイスをくださった先輩方に出会えたことは私の宝物でもあります。

同じように、後輩の作業療法士の方々に素朴な疑問を投げかけられることで、私自身が行ってきた作業療法を振り返ることができる、とても良いきっかけになりますし、

 

教えることで改めて教わることが多い

 

ことにも気づかされます。

 

先輩・後輩という関係を意識していた時もありましたが、今では

 

かけがえのない仲間

 

として、先輩であっても後輩であっても、

 

同じ道を歩いている仲間

 

として、お互いに技術や知識を磨き合っています。

 

そんな私の職場に1年半前に入職した今年で作業療法士として7年目になる『宏次朗(こうじろう)』くんが今日の話の主役です。

 

訪問看護ステーションに来た宏次朗くん


 

宏次朗くんは病院での作業療法を経験して、私たちの職場に1年半前に入職してきました。

以下に訪問看護ステーションについて簡単に説明します。

看護の専門職(保健師、看護師、准看護師、助産師)やリハビリテーションの専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)がお宅に訪問して、その病気や障がいに応じた看護を行うことです。

主治医の指示を受けて、健康状態の観察、病状悪化の防止・回復、療養生活の相談とアドバイス、リハビリテーション、点滴や注射などの医療処置、痛みの軽減や服薬管理、緊急時の対応、自宅で最期を迎えたいという希望に沿った看護を行います。

<出典:日本訪問看護財団より一部抜粋>

 

訪問看護ステーションで働いた経験が少なかった宏次朗くんにとって、一人一人の利用者さんのお住まいに訪問する仕事は、何もかもが新しいものばかりだったようです。

働き始めた頃は、どこかぎこちなく、少し照れ屋な宏次朗くんにとっては、利用者さんやご家族を前にして緊張することも多かったようです(今でも新しい利用者さんの住まいに訪問する時には多少緊張するようですが・・・)。

それでも 学ぶことが好き で、 新しいことへの好奇心が強い 宏次朗くんにとって、一人一人異なる個性を持つ利用者さんやご家族、職場の同僚、職場以外の関係者とのやり取りは、彼にとって

 

成長するための大切な経験

 

になっているように思います。

もちろん、作業療法士はプロフェッショナルと言われる職種なので

 

毎日が真剣勝負。

 

だからこそ、職場内のみんなで仲間を支え合う環境を作ることが、お互いの成長のためにとても大切なことだとも言え、この仕事を続けていくことへの喜びや楽しみにも繋がるのではないでしょうか。

 

takaさんご夫妻からの言葉


 

私と宏次朗くんがそれぞれ週に1回ずつ訪問に伺っているtakaさん(タカさん・仮名・男性)という方が居られます。

takaさんはベッド上での生活が中心で、自分の力で起き上がることが難しく、ベッドに腰掛けることも難しい状態の方です。

呼吸の状態や心臓の状態もあまり良いとは言えず、全身の状態も常に不安定なため、看護師とセラピスト(理学療法士・作業療法士)が定期的にtakaさんの住まいに伺って、健康状態の確認、呼吸のリハビリ、ベッド上での体を動かすことなどをしています。

作業療法では、ベッドに腰掛けてtakaさんの好きな『将棋』をすることを試みましたが

 

「しんどい(つらい)から起きれない」

 

となかなか起き上がろうとされませんでした。

体を起こさないと、痰が出にくくなり、その状態が長く続くと

 

肺炎

 

を引き起こす危険性がありました。

そんなtakaさんに対して、宏次朗くんは粘り強く接しました。

宏次朗くん自身は、『将棋』が全くできなかったのですが

 

なんとかtakaさんが起き上がって少しでも元気になってもらいたい

 

との思いで、宏次朗くんは『将棋』をtakaさんから教えてもらいながらも自分で懸命に学びました。

もちろん、寝ながら『将棋』をすることはほぼ不可能なので、なんとかしてtakaさんが起き上がってもらえるよう、いろいろな工夫をしました。

 

少しでも楽に体を動かす練習

 

少しでも楽に呼吸ができる練習

 

少しでも楽しい時間を持てるようにするために笑いのネタを提供する

 

など、宏次朗くんなりにでき得ることをいろいろと試していました。

もちろん、私や看護師への相談は欠かさず行い、宏次朗くんと私と看護師とで一緒になってtakaさんへの看護・リハビリテーションを行いました。

そんな宏次朗くんの取り組みに対して、takaさんは徐々に体を起こして『将棋』をすることへの意欲が出てこられました。

 

ある日、私がtakaさんの訪問での作業療法を終えて、ひと段落した時に、takaさんご夫妻から

 

「宏次朗さん、この1年ですごく成長しましたね。

1年前は、まだ恐る恐る接していたような感じでしたけど、今はすごく自信を持って接してくださるので、とても頼りにしています。」

 

と私に教えてくださいました。

私はあまりの嬉しさにtakaさんご夫妻の前でポロポロと涙が出てしまいました。

私自身のことを褒められるよりも、宏次朗くんのことを褒められたことが、本当に嬉しく思ったからです。

 

takaさん自身も、宏次朗くんが来る日には、ほぼ毎回ベッドから車いすに移って『将棋』を一緒にすることを楽しみにされるようになり、最近では宏次朗くんがtakaさんに『将棋』で勝つことが増えて、takaさんも舌を巻くほどの成長ぶりを見せてくれています。

宏次朗くんの頑張りは、私が訪問した時にも良い影響があり、私の訪問の時にもtakaさんは起き上がって一緒に『将棋』をしたり、takaさんご夫婦で世間話を楽しむことができるようになっています。

 

仲間の成長を一緒に喜ぶ


 

新しい職場や新しい環境に限らず、誰でもみんな、最初は

 

初心者

 

です。

できないところや、足りないところがたくさんあるのは当たり前です。

でも、それをただ批判したり、

 

「あの人と私とはやり方が違うから」

 

と言って、自分の方法だけで済ませることは、利用者さんやご家族にとってだけでなく、同じ職場の仲間にとっても良いこととは言えないと思います。

私も、過去に苦い経験をたくさんしてきました。

でも、今でもよく声をかけてくださる先輩は、私の考えやペースを尊重してくださって

 

一緒に取り組む

 

ことを続けてくださいました。

だからこそ、私も後輩には同じように接したいと思いますし、何より

 

大切な仲間

 

であることを常に意識して

 

上下関係ではなくて対等の関係としての仲間

 

であることをお互いに伝え合って、お互いに高め合うことが大切だと考えています。

そうすることが本当の意味で

 

仲間の成長を一緒に喜ぶ

 

ことができるのではないでしょうか。

 

まとめ


 

今日は職場の仲間である宏次朗くんの成長を通じて、仲間の成長を一緒に喜ぶことのできる環境の大切さをお伝えしました。

先輩・後輩に限らず、同じ道を歩いている

 

かけがえのない仲間

 

として接して、お互いを認め合うことで、お互いに技術や知識を磨き合うだけではなく、職場の人間関係もより良くなり、サービスを受けるクライエント(利用者さんたち)にも良い影響が出るのではないでしょうか。

 

皆さんの貴重なご意見・ご感想、大変参考になりますので、お気軽にコメントなどいただけると嬉しいです。

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