こんにちは。広島の作業療法士の川本健太郎です。
いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
生活しているといつどこで何が起きるかわかりません。
シリーズ『救命救急』では、いざという時のために、日頃から必要な知識や技術を学んでおくことは大切であり
あなたのその行動で助かる命がたくさんある
ということをお伝えしましています。
今回は救命救急シリーズの第4回目として『気道に何かが入ってしまった! 異物による窒息への対応方法』というタイトルで、窒息への対応方法についてお伝えします。
目次
窒息とは?
窒息とは、呼吸が阻害されることによって血中酸素濃度が低下し、二酸化炭素濃度が上昇して、脳などの内臓組織に機能障害を起こした状態をいいます。
<日本気管食道科学会より>
食べ物や異物(子供ではおもちゃなど)がのどに詰まって気道をふさいでしまうと
窒息
が起こります。
窒息が起きると呼吸ができず
脳や主要な臓器に酸素が行き渡らない状態
になり、傷病者の状態は一気に悪くなります。
気道が塞がって窒息している状態が
5分以内では死亡は6%
6~10分だと死亡または意識が戻らない状態は42%
10分以上だとほぼ確実に死亡もしくは脳死状態となる
とされています。
「せいぜい正月のお餅をのどに詰まらせるくらいで、そんなに多くの人が窒息で亡くなるまでいかないでしょ?」
∑(!? ̄Д ̄)゚イヤハヤ…
と言われるかもしれません。
確かに、正月時期にお餅をのどに詰まらせて亡くなる方は多いのですが、年間を通して窒息による死亡は
約9000人(2017年時点)
であり、これは交通事故で亡くなる人の
約2倍
になります(参考:NHK 健康chより)
Σ(゚ロ゚;)マジ!?
つい先日も、4歳児がぶどうを喉に詰まらせて亡くなるという痛ましい事故が起きたばかりです。
<出典:TBSニュース:ぶどう詰まらせ 4歳男児死亡、幼稚園の給食で 窒息か>
また、高齢者は
飲み込む力が弱い
飲み込みの反射(嚥下反射)が障害されている
食道が細くなっている
などが原因で、食べ物が正常に食道を通過できずに気道に入ってしまう
誤嚥
を引き起こすことが非常に多く、誤嚥からの肺炎(誤嚥性肺炎)を容易に引き起こしてしまいます。
高齢者でなくとも
食べ物を大きいまま飲み込む
しっかりと噛まずに飲み込む
餅などの粘り気のあるものを一気に食べる
急いでかき込むようにして食べる
など、十分に食べ物を噛まずに飲み込むことで窒息を引き起こしてしまいます。
窒息時に見られる主な状態と対応方法
窒息時に見られる主な状態としては
急に黙り込む(うつむいたままになる)
のどをかきむしるような動作が見られる(チョークサイン)
顔色が悪くなる
顔面蒼白になる
くちびるや指先などの皮膚や粘膜が青紫色に変化する(チアノーゼ)
呼吸をしていない
声が出ない
急に動きが止まる(身動きをしない)
意識がなくなる(ぐったりしている)
胸を叩くなど苦しそうな様子になる
などが見られます。
この時、のどが詰まったかを尋ねて傷病者がうなずくだけで、声を出すことができない、あるいは意識がなくなっている状態であれば、完全な窒息と判断して
直ちに119番通報
をしてください。
119安通報と並行して以下の対処法を試みてください。
1.意識があって息ができている場合
意識があって息ができている(なんとかできていることも含める)場合は
咳をしっかりしてもらって異物除去を試みる
ことを行います。
すでに咳き込んでいる場合はそのまま咳をしてもらいます。
咳が弱い場合は
前傾姿勢を取らせて胸の前側を圧迫して咳を補助する
ことを試みてください。
必要に応じて
口の中の見えるものだけをかき出す
ことも行って欲しいところですが、混乱している傷病者に手を噛まれる危険性があるので、無理はせずに、しっかりと咳をしてもらうことを優先してください。
2.意識がはっきりしない、または咳で異物を出すことができない場合
こうした状態が見られた場合は
背部叩打法(はいぶこうだほう)
腹部突き上げ法(ハイムリック法)
を行ってください。
一方の方法でうまく異物除去ができない場合は、もう一方の方法を用いて異物が除去できるかを試みます。
手技として背部叩打法も腹部突き上げ法(ハイムリック法)も行えるのであれば、傷病者の反応がなくなるまで交互に繰り返します。
しかし、腹部突き上げ法(ハイムリック法)は手技的にも難しく
妊娠が疑われる人(明らかに下腹が大きいなど)
肥満で腹部が明らかに大きい人
1歳未満の子供
に対しては腹部突き上げ法は行えないため、腹部突き上げ法に自信がない場合は
背部叩打法
を行ってください。
①背部叩打法
立っている状態でも座っている状態でも
まずは前傾姿勢
になってもらいます。
重力の力で異物が下がりやすいように
可能な限り頭を下げる
姿勢をとります。
横向きに寝ている(側臥位)場合は、手当てをする人が傷病者の顎の下に手をあてがいましょう。
背中の左右にある両方の肩甲骨と肩甲骨との間を
手の付け根(手掌基部)で力強く叩く
ことを行います。
わかりにくい部分は動画で確認しましょう。
成人の背部叩打法を30秒ほどの動画でお伝えしています。
②腹部突き上げ法(ハイムリック法)
傷病者の後ろに立つか、床に座っている場合は片膝を立てて
後ろから傷病者のお腹へ両手を回す
ことを行います。
そして
回した手の片側で握りこぶしを作る
こぶしの親指側を傷病者のへそより上、かつ、みぞおちよりも下に当てる
もう一方の手を被せて握る
下から突き上げるように素早くこぶしを押すことを繰り返す
ことを繰り返します。
わかりにくいところは動画で確認しましょう。
腹部突き上げ法〜背部叩打法までを30秒ほどの動画でお伝えしています。
③乳児・幼児の気道異物除去法
乳児や幼児の場合でも、背部叩打法と腹部突き上げ方法(1歳以上)を組み合わせますが
大人と同じ姿勢での異物除去は難しい
のが実情です。
そこで、乳児・幼児に合わせた気道異物除去法をお伝えします。
こちらの方法は文章よりも動画で何度も確認していただく方がより分かりやすいと思いますので、そちらを紹介します。
乳幼児の気道異物除去法を4分程度の動画でお伝えしています。
④絶対にやってはいけないこと
異物を除去する時に、絶対にやってはいけないことは
掃除機などで無理やり吸い取ろうとする
ことです。
この方法については、意見が分かれるところもあり
「専用の器具であれば掃除機も使えるのでは?」
(;·∀·)キイタコトアルヨ…
と言われる方もいます。
でも、一般的な吸引器と違い、掃除機の場合は
吸引力が桁違いに大きすぎる
ため、気道の異物どころか肺やその他の臓器を著しく損傷する危険性が高いので、私はお勧めをしていません。
あくまでも背部叩打法と腹部突き上げ法(ハイムリック法)を組み合わせて対応し、救急隊の指示に従うようにしてください。
このことに関しても、動画を参考にしていただけたらと思います。
『窒息 現場の3分間』のタイトルで4分半程度の動画で紹介されています。
傷病者の反応がなくなった場合(意識消失)
傷病者の反応がなくなる、すなわち
意識が消失した
場合は、心停止と考え
心配蘇生の手順を開始
してください。
過去のブログでお伝えしている内容を復習も兼ねてぜひ参考にしてください。
↓ ↓ ↓
まとめ
今回は『気道に何かが入ってしまった! 異物による窒息への対応方法』というタイトルで、窒息への対応方法についてお伝えしました。
窒息は時間との勝負
になります。
今回お伝えした
背部叩打法
腹部突き上げ法(ハムリック法)
は窒息への対応の基本でもあるので、動画を参考にしていざという時に備えておくことをお勧めします。
いざという時のために、日頃から必要な知識や技術を学んでおくことは大切ですし
あなたのその行動で助かる命がたくさんある
ということも覚えておいてください。
大切な命を守るためにも、今回お伝えしたことが少しでもお役に立つことができればと思います。
皆さんの貴重なご意見・ご感想、大変参考になりますので、お気軽にコメントなどいただけると嬉しいです。
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