こんにちは。広島の作業療法士の川本健太郎です。
いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
熱中症への対応を本格的に行わなければならない季節になり、このブログでもシリーズで『熱中症』について扱っています。
『熱中症』シリーズ第1回目は『熱中症のメカニズムと応急処置の手順・方法』についてお伝えし、第2回目では『熱中症かなと思った時の水分補給方法』についてお伝えしました。
熱中症が疑われる場合は経口補水液(ORS)が最も適していて、経口補水液がなければスポーツドリンクを選択することには変わりありません。
しかし、普段の生活の中で経口補水液やスポーツドリンクをたくさん飲むことは難しいですし、たくさん飲むことでかえって体に悪い影響を及ぼしてしまうこともあります。
そこで今回は、『熱中症を防ぐために普段から心がけたい水分補給方法』というタイトルで、普段の生活の中での熱中症予防のための水分摂取についてお伝えします。
目次
体の中の水分量
水分をしっかりと摂ることは何度もお伝えしていますが、そもそもなぜそんなに水分を摂る必要があるのでしょうか。
人間の体は水分でできていると言っても良いくらい、生命を維持するためには水分が欠かせません。
人間の体の約50〜80%は水分(体液)で満たされているため、体の中の水分が不足すると、熱中症になる危険性が高まるだけではなく
体調不良
重症化する病気
を引き起こすことにもなります。
水分量は、年齢とともに少なくなる傾向にあります(下図『体重あたりの水分量』参照)。
新生児は体重の約80%が水分
であるのに対して
高齢者は体重の約50〜55%が水分
と新生児と比べても6割〜7割程度しか体の中の水分量は確保されていません。
この、確保される水分量をここでは『タンク』と呼ぶことにします。
体の中で蓄えられる水分のタンクが小さくなればなるほど、不足している水分を口などから補う必要があります。
そのため、当然のことながら、タンクの大きい若い世代よりもタンクの小さい高齢者の方が、より多くの水分を口などから補う必要が生じてきます。
成人男性の場合
1日あたり約2.0〜2.5L
の水分が出たり入ったりしています。
そのうち体の中に入ってくる水分量(IN量)は
食事:約1L
飲み水:約1.2L
体内でできる水:約0.3L
であり、逆に体の外に出る水分量(OUT量)は
便・尿:約1.6L
呼吸・汗:約0.9L
が一般的です。
健康な人であれば、基本的にはINの量とOUTの量はほぼ等しくなります(これを『IN-OUTバランス』と言います)。
飲み水で1.2L
と聞くと
「え!?そんなに飲む必要があるの!?」
Σ(°д°lll)
と思われるかもしれませんが、これは医学的にも証明されている数値ですし、皆さんも知らず知らずに実は飲んでいる水分の量でもあるのです。
しかし、これはあくまでも汗をかく量が少ない時の数値なので、運動をして大量に汗をかいた時や、熱中症になりやすい時期に体の熱とともに蒸発(気化)していく水分が多くなればなるほど、それに見合った量の水分やミネラルを補給することが必要になります。
また、高齢者は感覚機能も低下していたり、日常的に水分を摂取する機会が少なかったり、トイレが近くなることを嫌がって水分を摂らなかったりすることが多いため、1日の水分摂取量が極めて少ないことも多い点には注意が必要です。
熱中症予防のための水分補給方法
「じゃあ、熱中症を防ぐためには、経口補水液(ORS)やスポーツドリンクが一番だね!」
(σ`・ω・)ダネ!
と思っている人も多いのではないでしょうか。
もちろん、熱中症が疑われる場合は
経口補水液(ORS:Oral Rehydration Solution)
が最も望ましく、経口補水液がなければ
スポーツドリンク
を選択することは前回のブログでも紹介させていただきました。
↓ ↓ ↓
でも、日常の飲み物として経口補水液やスポーツドリンクはお勧めできません。
なぜかというと、経口補水液やスポーツドリンクには私たちが考えている以上に
糖分
塩分
カロリー
がたくさん入っているので、飲み過ぎると
血圧の上昇
血糖値の上昇
腎臓への大きな負担(特に塩分過多)
体重増加・肥満
などの症状を引き起こしてしまいます。
そこでお勧めしたいのが
カフェインを含まないお茶(カフェインレス茶)
です。
カフェインは強い利尿作用があるため、摂取した水分の大半が体の外に出ていく作用を強めてしまうだけではなく、体の中の水分までもが外に出て行ってしまうので、しっかりと水分を摂りたい時にはお勧めできません。
また、日常的にコーヒーや紅茶などのカフェインの多い飲み物を摂取している人は、熱中症になりやすいとも言われています。
どうしてもコーヒーや紅茶を楽しみながら水分補給もしたいのであれば、ノンカフェインやカフェインゼロといったカフェインの量を調節したものを摂ることをお勧めします。
いずれにしても、熱中症を防ぐために日常の飲み物としては、カフェインを含まないお茶をお勧めします。
お茶には、鉄分、カルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、リン、硫黄、塩素、亜鉛、セレンなどの
ミネラルがたくさん含まれている
だけではなく、健康効果の高い成分も多く含まれているので、水分補給だけではなく
体調管理にも役立つ
ことで知られているので、熱中症の時期に落ちやすい体力を保つことや、血流をよくする(血液をサラサラにしてくれる)ことや、胃腸の運動をよくしてくれるので、日常の飲み物としてお勧めできます。
では、どんなお茶がお勧めなのか、5種類のお茶についてご紹介いたします。
注意していただきたいのは、お茶に含まれる成分によっては、便通が良くなり過ぎたり(下痢や腹痛を引き起こす)、胃のもたれを引き起こしたり、そもそも体に合わない(味などが苦手、喉ごしが良くないなど)ものもあるので
少しずつ飲みながら体の反応を見る
ことを必ず行ってください。
1.ミネラル入りむぎ茶
ミネラル入りむぎ茶はカフェインを含まないので、小さな子供から高齢者まで、幅広い年代で誰もが飲めるだけではなく、汗をかく時に失われるミネラルを補給できるのでお勧めできます。
ミネラルは血液をサラサラにする効果もあり、また、体の中の水分吸収を促してくれるので、1年を通じて体調管理をする時にも役立ちます。
糖分を含んでいないので、糖分の摂りすぎによる
血糖値の上昇
体重増加・肥満
を抑えることができるので、糖分摂取の制限のある人(糖尿病など)でも安心して飲むことができます。
飲み方としてはできるだけ
毎日飲む
こまめに少しずつ飲む
ことをお勧めします。
1年を通じて毎日こまめに飲むことで、水分とミネラルをとる習慣をつけて、暑さや寒さの変化に負けない体を作ることもできます。
1時間にコップ1杯程度(100〜200mL)
もしくは
目が覚めたとき(起床時)
外出前
家に帰ってきたとき(帰宅時)
お風呂の前と後
寝る前
といった感じでできるだけ習慣化して飲むことをお勧めします。
屋外で過ごす時間が長くなる時には、ミネラル入りむぎ茶と塩あめを合わせて摂ることも有効です。
私は1日1本はこのミネラル入り麦茶を飲んでいます。
仕事の関係で屋外への出入りもすることが多いため、塩あめも携帯していつでも摂れるようにしています。
ミネラル入りむぎ茶は、医療の専門家からの注目も高く、また、駅伝選手などのアスリートの持久力の向上などでも注目をされています。
<専門家も注目、「ミネラル入り麦茶」の熱中症対策効果 「ミネラル入り麦茶」で水分・ミネラルを補給し、『体温を下降』!:赤穂化成株式会社ホームページより>
<ミネラル入り麦茶は何がすごい? 駅伝の強豪校がとり入れるワケ:MYLOHASホームページより>
2.ルイボスティー
<画像引用:伊藤園ホームページ>
ルイボスティーは、体に有毒とされる
活性酸素
と呼ばれる物質を無毒化する力がとても強い成分である
SOD様物質
が含まれることで注目されているお茶です。
もちろん、カフェインゼロ、無添加、ポリフェノール(体が酸性化するのを防ぐ物質)を含むので、健康管理にとても有効なお茶です。
汗とともに失われるミネラルを豊富に含んでいることも、特筆すべき点です。
ペットボトルもありますが、場所がかさばる場合にはティーパックを使ってその都度お茶を作ることもお勧めします。
3.グァバ茶
<画像引用:ヤクルトホームページ>
グァバ茶に豊富に含まれている
クエン酸
リンゴ酸
ビタミンC
といったこれらの物質は
高い疲労回復効果を発揮
します。
また、グァバ茶に含まれる
ケルセチン
という物質は、抗酸化作用(体が酸性になるのを防ぐ)、脂肪の減少、血糖値を下げるもの、として注目されていて、生活習慣病の予防としても期待されている健康茶でもあります。
4.ローズヒップティー
その名の通り、バラの花の美し色で知られるローズヒップティーは
ビタミンC
リコピン
βカロテン(ベータカロテン)
ビタミンE
など、抗酸化成分(体が酸性になるのを防ぐ)が多く含まれており、これらの物質は
体力低下の予防
免疫力低下の予防
としての効果が期待できます。
また、汗をかくことで失われる
カルシウム
鉄分
なども豊富に含まれているので
高い疲労回復効果を発揮
します。
ただ、ローズヒップティーは独特の酸味があるので、ローズヒップティーをそのまま飲むと
まずい
(;´Д`)ウェッ
と感じる人もいると思います。
その時には
ハチミツを少量加える
と味がまろやかになって、甘味も出て飲みやすくなります。
5.桑の葉茶
桑の葉茶は
ビタミンB1
ビタミンB2
カルシウム
鉄分
など、夏に不足しがちな成分や骨や血液といったものを作る成分を補ってくれます。
また、リラックス効果のある
GABA(ギャバ)
も含まれるので、暑さなどで眠れない時にもお勧めです。
最近では、桑の葉茶に含まれる
1-デオキシノジリマイシン(DNJ)
という成分が、食事によって体内に入ってきた糖質に働きかけて、小腸の中で糖質が吸収されるのをブロックするので
食後の急な血糖値の上昇を防ぐ
体重増加・肥満を防ぐ
と言われ、注目を集めています。
お茶が苦手な人
「そうは言っても、私はお茶を飲むのは苦手だわ」
( ̄* ̄;)ムムム…
という方もおられると思います。
そんな場合は
普通の水
でも構いません。
ミネラルウォーターとかにも拘らず、日本であれば
水道水
でも大丈夫です。
日本の水道水の基準は非常に厳しく管理されているので、世界的に見ても飲料水としての安全性は極めて高いと言えます(出典:政府広報オンライン 暮らしに役立つ情報)。
ただ、最近では水道水に微量に含まれる塩素系成分やトリハロメタンなどの物質が、新生児や乳幼児や高齢者の体に悪影響を及ぼすことも指摘されています。
また、古くなったマンションなどでは、貯水槽や配管設備などの衛生管理への不安もあります。
そういった場合は
ウォーターサーバーの水
ミネラルウォーター
もお勧めしますが、最近では
フィルタリングできる容器
の活用が増えてきています。
私の職場の同僚は、このフィルタリングできる容器に水道水を入れて持ち運んで飲むようにしています。
1日約5〜6回使用で約2ヶ月程度を目安にフィルターの交換が必要ですが、毎回ミネラルウォーターを購入することやウォーターサーバーを導入することを考えると、コストパフォーマンスは良いのではないかと思います。
ここでご紹介した『PURITII』だけではなく、以下に紹介する『ブリタ fill&go』など、フィルタリング機能付きのボトルを持っておくと、急な外出の際や災害に遭遇した時や屋外で水を補給しなければならない時にも活用できますね。
まとめ
今回はシリーズ『熱中症』の第3回目として『熱中症を防ぐために普段から心がけたい水分補給方法』についてお伝えしました。
人間の体の約50〜80%は水分(体液)で満たされているため、体の中の水分が不足すると、熱中症になる危険性が高まるだけではなく、体調不良や重症化する病気を引き起こすことにもなります。
なので、熱中症が疑われる場合は経口補水液(ORS)が最も適していて、経口補水液がなければスポーツドリンクを選択することには変わりありません。
しかし、普段の生活の中で経口補水液やスポーツドリンクをたくさん飲むことは難しいですし、たくさん飲むことでかえって体に悪い影響を及ぼしてしまうこともあります。
今回ご紹介したお茶などは普段から飲む習慣をつけておくことで、熱中症だけでなく
夏バテ予防
疲労回復
生活習慣病の予防
にもつながります。
自分や自分の周りの人の熱中症の予防のために、今回お伝えしたことが少しでもお役に立つことができればと思います。
皆さんの貴重なご意見・ご感想、大変参考になりますので、お気軽にコメントなどいただけると嬉しいです。
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