こんにちは。広島の作業療法士の川本健太郎です。
いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
熱中症への対応を本格的に行わなければならない季節になり、このブログでもシリーズで『熱中症』について扱っています。
今回は、『乳幼児を熱中症から守る!』というタイトルで、高齢者と同様に熱中症にかかりやすい乳幼児への対応についてお伝えします。
目次
保護者の気づきが乳幼児の命を守る
子供は大人と比べて
体温調整
水分バランス調整
環境から受ける影響
の3点において、大人ほど周りの環境に適する発達をしていないため、熱中症になりやすいことは前回のブログでもお伝えしました。
↓ ↓ ↓
自分から水分を補給したり、体を冷やしたり、体調の異変を訴えられる年齢の子供であれば、保護者も子供への指導を十分に行うことで熱中症を防ぐことができますが
乳幼児
は、保護者や周りの大人たちが
十分な観察と実際に触れてみて確認する
といった、より一層注意深くケアをしていかなければなりません。
ここでは、一般的な定義として
乳児は0歳から満1歳未満
幼児は満1歳から小学校就学前
とします。
乳幼児が熱中症にかかりやすい点としては、次の3点が挙げられます。
1.衣類の選択・衣類の着脱の判断が自分では難しい
乳幼児は、衣類の選択や適切なタイミングでの衣類の着脱が難しいので、保護者や先生は
体の熱を放出しやすい服を選ぶ
適切なタイミングでの衣類の着脱を行う
ことが重要になってきます。
特に、暑い環境では、大人以上に着ている服そのものの熱や水分の移動を意識しておく必要があり
吸水性
透湿性
通気性
のいずれもが良い素材の衣類を選ぶことが大切です。
また屋外に出る時には
帽子を着用する
ことも重要になってきます。
ただし、帽子に関しては頭全体に熱がこもりやすくなる傾向もあるので定期的に帽子を外して
頭に熱がこもっていないかを確認する
ことを忘れないようにしてください。
また、新型コロナウイルスの影響でマスクの着用が必要となっていますが、日本小児科医会の最新の報告(2020年5月25日時点)では
2歳未満の子供にマスクは不要でむしろ危険
とされているので、子供のマスク着用に関しては最新の情報で確認をする必要があります。
リンク:公益社団法人 日本小児科医会
2.水分補給のタイミングが分からない
「喉が渇いた」
(゚д゚)チョーダイ
と自分の意思で大人に水分補給を訴えることができるのは、4〜5歳以降と言われています。
発育過程で多少の年齢の前後はあるものの、ある程度の年齢にならないと、自分の意思を正確に大人に伝えることが難しいの乳幼児の特徴です。
特に
乳児は自分から喉の渇きを訴えることは不可能
なので、保護者がこまめに水分補給ができているかの確認が必要です。
授乳期の乳児で母乳から直接水分を摂取している場合は、どのくらい水分が取れているのか分からないことが多いので
体温とおしっこのチェック
はこまめに行う必要があります。
体温が高い場合は
必ず体温計で体温を測定する
ことと、おしっこに関しては
おしっこの量・色・匂い
でいつもよりもおしっこの量が少なく、色も濃く、匂いもいつもと違う場合は、しっかりと水分を摂らせ、その状態が続くようであれば
医療機関への相談
を行いましょう。
3.高い温度環境に気づかない
乳幼児はよく
ベビーカー
に乗っています。
また、ベビーカーに乗らずに立って歩いている状態では、大人の顔の位置と比べても幼児の顔の位置は地面に近くにあります。
つまり、ベビーカーに乗っている乳幼児や立って歩いている幼児は、大人と比べても
地表からの熱の影響を受けやすい
特徴があります。
一般的に、夏は地面に近いほど気温が高く、大人と幼児の高さでは
2〜3℃異なる
と言われています。
ベビーカーでの熱中症に関した調査では、次のように述べられてます。
環境省の熱中症予防情報サイトによると、東京都心で地上から150㎝の高さで32.3℃のとき50㎝の高さでは35℃を超えていました。
さらに地面に近い5㎝の高さでは36℃以上になり、地面に近いほど熱や照り返しの影響が強く、温度が高いことがわかっています。
ベビーカーでの外出は地面に近く温度が高くなりやすいばかりでなく、日よけで覆ってしまうと、紫外線はカットできる一方で風通しが悪くなり、熱や湿気がこもりやすくなります。
<出典:Asahi ベビーカー熱中症予防サイトより>
つまり大人が体感している以上の温度がベビーカー内では発生しているので、熱中症になるリスクが高いと言えます。
また、社会的問題にもなっている
夏場の車内で子供を一人にしておく
ことは、命に関わるので、保護者は絶対に行ってはいけません。
JAF(日本自動車連盟)が2012年の8月22日から23日にかけて行った調査では、気温35℃の環境下で、エアコン停止からわずか15分で、熱中症指数(WBGT)が危険レベルに達した。
乳幼児は体温調節機能が未発達で、高温下では短時間で体温が上昇し、死に至ることがあります。
寝ているからという理由で、車内に子どもを残すのは大変危険です。
<出典:JAF 真夏の車内温度(JAFユーザーテスト)より一部抜粋改変>
「すぐに帰るつもりで」
(;゚Д゚)イヤソンナ
「ちょっとだけ目を離してただけで」
(;・∀・)チョットノツモリ…
では取り返しがつかなくなってしまうことを忘れないでください。
ここまでお伝えした3点については、是非とも保護者、先生、周りの大人たちが注意して乳幼児をみていただきたいと思います。
乳幼児を熱中症から守るポイント
これまでにお伝えしてきたことからもお分かりかと思いますが、乳幼児は自分自身で熱中症を予防することが難しいため
保護者の気づきと適切な対応
が必ず必要となってきます。
では、どうすれば乳幼児を熱中症から守ることができるでしょうか。
これまで述べてきたこと含めて、乳幼児を熱中症から守るポイントをまとめてみました。
次のチェックリストから
1つでも当てはまれば医療機関に相談する
ことを行ってください。
<乳幼児を熱中症から守るチェックポイント✅>
□触って体が暑い
この時忘れてはならないのは
必ず体温計で体温を測定する
ことです。
そのため、外出先にも体温計は持ち歩くことをお勧めします。
□大量の汗をかいている
明らかにいつもと違う量の汗をかいている時には、高熱状態になっており、脱水症状が進んでいると言えます。
□皮膚が乾燥している
乳幼児は大人と比べても、体の中の水分量が多いのが特徴です。
それにも関わらず、皮膚が乾燥しているのであれば、脱水症状を疑う必要があります。
□目がくぼんでいる
体の中から必要以上に水分が出ていると、目の周囲の張りがなくなり、目がくぼんでしまいます。
□お腹の皮膚をつまんで離してもシワが残る
乳幼児のお腹の皮膚は常に瑞々しい張りがあります。
シワがいつまでも残ってしまうのは、皮膚の潤いがなくなり、脱水状態にあると言えます。
□いつもより機嫌が悪い・泣き止まない
体の不調を言葉で伝えることの難しい乳幼児は、機嫌が悪い仕草や泣き止まないことで体の異常を訴えるしか方法を持ち合わせていません。
特にいつもより
大きな声で叫ぶように泣く
あやしてもなかなか泣き止まない
時には明らかな体の異常のサインです。
□嘔吐をする
異物を飲み込んだ時や感染症にかかった時にも嘔吐は見られますが、脱水状態が進んだ場合も嘔吐が見られます。
□24時間おしっこが出ていない
生後6ヶ月までの乳児は、1時間〜2時間に1回程度おしっこが出ます。
生後6ヶ月以降であれば、2時間〜3時間に1回程度おしっこが出ますが、24時間の間に一度もおしっこが出ないのは明らかに異常な状態です。
脱水症や熱中症が強く疑われますが、腎臓の機能がうまく働いていないことが考えられます。
□ミルクや水分を飲みたがらない
ミルクや水分を飲ませようとしても吐き出してしまうことや、顔を背けて飲もうとしないのは脱水症でよく見られる症状です。
□脈が弱い
脈を測ろうとしても、なかなか脈が見つからない(橈骨動脈、頸動脈)、あるいは脈がいつもより弱い場合は、脱水によって血液がうまく循環していない可能性があります。
□ボーッとしていて呼びかけへの反応が悪い
乳幼児に限りませんが、熱中症の重症度が増すと意識レベルがどんどん低下していきます。
ここまでお伝えした『乳幼児を熱中症から守るポイント』はPDFでダウンロードできるようにしていますので、ご自由にお使いください。
↓ ↓ ↓
乳幼児の水分補給方法
乳幼児の水分補給に関して、基本的には熱中症の兆候が見られないのであれば
乳児であればミルクや母乳
幼児であれば普段飲んでいる水分
でも構いません。
しかしながら、熱中症の兆候が見られている場合は
経口補水液(ORS)
を用いることが適切とされています。
乳児であれば
アクアライトORS(和光堂)
が推奨されており、幼児以降の小児・大人にはOS1などの経口補水液が推奨されています。
<参考文献:医療者のための熱中症対策Q&A>
まとめ
今回はシリーズ『熱中症』の第9回目として『乳幼児を熱中症から守る!』というタイトルで、高齢者と同様に熱中症にかかりやすい乳幼児への対応についてお伝えしました。
自分から水分を補給したり、体を冷やしたり、体調の異変を訴えられる年齢の子供であれば、保護者も子供への指導を十分に行うことで熱中症を防ぐことができますが
乳幼児
は、衣類の選択・衣類の着脱の判断を自分で行ったり、水分補給のタイミングをはかったり、高い温度環境に気づいたりすることが難しいため、保護者や周りの大人たちが
十分な観察と実際に触れてみて確認する
といった、より一層注意深くケアをしていかなければなりません。
また、体の中の熱を適切に外に逃す機能や、体の中の水分量を一定に保つための機能が未発達なため、大人が考えている以上に
熱中症になりやすい
ことにも十分に注意しておく必要があります。
大切な家族を守るためにも、今回お伝えしたことが少しでもお役に立つことができればと思います。
皆さんの貴重なご意見・ご感想、大変参考になりますので、お気軽にコメントなどいただけると嬉しいです。
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