こんにちは。広島の作業療法士の川本健太郎です。
いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
シリーズ『終活』では人生の終わりに向けて取り組むことについてお伝えしています。
『終活』シリーズの第5回目の今回は、『エンディングノートと遺言書との関係』についてお伝えします。
目次
『終活』と遺言書
『終活』において、エンディングノートの作成をお勧めしていることは、前回のブログでも紹介しています。
↓ ↓ ↓
そしてエンディングノートの作成とともに、できれば行って欲しいこととして
遺言書の作成
があります。
よく
「エンディングノートがあれば事足りるでしょ」
(`・ω・´).
「遺言書があればエンディングノートは不要では?」
イランヨヽ(*・Д-)
という意見を聞くことがあります。
中には
エンディングノート=遺言書の簡易版
と捉えている人もおられます。
確かに、それぞれの役割が分かっていれば、どちらか一方だけでも十分だと思います。
しかしながら、現実問題として
遺産相続
については、エンディングノートでは十分に書ききれない内容がたくさん含まれているのも事実です。
実際に
遺産相続=遺産争続
と言われるほど、相続時の家族間・親族間のトラブルはつきものです。
したがって、どちらかと言えば
エンディングノート=遺言書の補完
として捉え、エンディングノートも遺言書もあった方が良いとされています。
遺言書の目的と種類
遺言書の目的は
財産の相続人や分配を明確にする
ことです。
そして遺言書の種類としては、大きく分けて3種類あります。
ここでは「普通書式」についてのみ説明いたします。
①自筆証書遺言
自筆証書遺言は
必ず手書き
で作成年月日を明記しているものです。
財産の内容を示す「財産目録」については、パソコンでの作成が認められていますが
それ以外の部分はすべて自分で手書き
で書かなければなりません。
また、自筆証書遺言が有効になるためには厳格な要件があり
一部でも他人が代筆したりパソコンで作成したりしていると無効
となります。
作成年月日、不動産の所在地、所有財産の詳細金額など
記載すべき事項が抜けているとそれだけで遺言書そのものが無効
となってしまいます。
自筆証書遺言は、自宅で保管されるケースがほとんどでしたが、相続発生後に遺言書が見つからなかったり破棄されたりするリスクがありました。
また、自筆証書遺言が見つかっても裁判所で遺言書の確認をしてもらう
検認(けんにん)
という手続きが必要なので、相続発生後の手続きが煩雑で時間がかかるというデメリットがありました。
これを受けて2020年7月から新たに
自筆証書遺言の保管制度
がスタートしました。
これにより、自筆証書遺言が
法務局で管理してもらうことが可能
となり、紛失したり破棄したりするリスクが減るだけでなく
相続発生後の検認の手続きが不要
になるので、相続手続きをスムーズに進めることができるようになりました。
この自筆証書遺言の保管手続きには、本人確認書類などが必要となりますが、法務局で内容の確認がされますので、封をしておく必要がなく、提出された自筆証書遺言は、法律上の要件を満たしているのかを法務局で確認をしてくれます。
また、法務局では遺言の原本を保管するだけでなく、その内容を画像データにして保存してくれるので、遺言書をデータ化することで
相続人は全国で遺言書の有無や内容を確認することができる
ようになりました。
②公正証書遺言
公正証書遺言は、遺言作成者が公証人役場に行き、公証人と2人以上の証人の立ち合いのもとで
遺言者が遺言内容を公証人に口頭で話し
それを公証人が書き留め
書き留めた内容を遺言者及び証人に読み聞かせ
遺言者及び証人が記載内容が正確であることを承認したら各自これに署名押印をし
公証人が民法第969条の方法に従って正しく作成されたことを付記して署名押印をし
公正証書としての手続きを完了する
ものです。
遺言書の中で最も確実とされる公正証書遺言ですが
作成するために証人2人が必要
証人はあくまでも他人なので遺言内容が知られてしまう(無論、守秘義務はあるので外部に情報が流出することは無いと言えます)
公証人との打ち合わせや公証人費用がかかる
というデメリットもありますが
現状で最も確実な遺言書である
家庭裁判所に検認手続きをしなくても良いので遺言者の死亡後にすぐに遺言内容が執行できる
原本が公証役場に保管されているので紛失や書き換えの心配が無い
といったメリットの方が大きいと思います。
全国の公証役場の所在地は以下のリンク先を参考にしてください。
<日本公証人連合会>
③秘密証書遺言
秘密証書遺言は、遺言の存在を誰にも知らせずに
秘密にしたまま公証人に遺言の存在のみを証明してもらう
遺言のことです。
遺言書そのものは
代筆・パソコンでの作成が可能
出来上がった遺言書を公証役場に持ち込むだけ
という便利さはあります。
秘密証書遺言の作成方法は
遺言者が遺言を作成して遺言書に署名・押印をする
遺言書を封筒に入れて遺言で用いた印で封印をする
公証役場に遺言者が行き、公証人と証人2人以上の前に封筒を差し出して自身の遺言であることと住所氏名を伝える
公証人がその遺言に提出した日付・遺言の本人確認(自身の遺言であることと住所氏名)を封筒に記載する
記載された封筒に公証人、証人、遺言作成者本人が署名・押印をする
といった流れで作成されます。
秘密証書遺言の最大のメリットは
本人以外は遺言内容を誰も知らない(代筆していた場合は本人と代筆者のみ)
遺言の存在を証明できる
秘密証書遺言作成費用は一律11,000円(公正証書遺言の場合は相続額によって異なる)
といった点です。
デメリットとしては
遺言内の印影と封筒の封印の印影が異なる場合は無効になる
公証人が内容を知らないので相続開始後に家庭裁判所に検認を確認しないといけない
公証人が内容を知らないので作成を一つ間違えるだけで遺言自体が無効となる
遺言自体は公証人は保管しないので作成した遺言が発見されないことがある
つまり公証役場では
「確かに遺言はあったよ」
( ゚ェ゚)bダヨ
「でもどこにあるかは知らないよ」
(*・∀・)シラネ
なので、きちんと保管をしておかないと、遺言そのものが意味をなさない可能性があります。
遺言書のメリットとデメリット
遺言書は、自筆証書遺言も公正証書遺言も秘密証書遺言いずれも、きちんとした手順や手続きを行っていれば
遺言者の意向をきちんと法的に保証してもらえる
ことが最大のメリットと言えます。
特に、エンディングノートでは不十分な
法的拘束力
を持つことができることは、相続に関係する問題がある場合には非常に有効なものと言えます。
その一方、デメリットと言えば
少しでも書類の不備があれば遺言書が無効となる
公正証書遺言などは簡単に変えられない(変更する場合の手続きが面倒)
家族関係がしばしば変わるために今際の際(いまわのきわ)の直前で内容を変えたい時にトラブルが発生する(例えば、正妻と内縁の妻の問題、介護を誰が引き受けたなど)
などが挙げられます。
いずれにしても、遺言書のみで済ませるのではなく
エンディングノートと一緒に活用する
ことが望ましいと言えます。
まとめ
今回は『終活』シリーズの第5回目として『エンディングノートと遺言書との関係』についてお伝えしました。
遺言書には大きく分けて
自筆証書遺言
公正証書遺言
秘密証書遺言
とがあり、いずれもきちんとした手続きを行えばエンディングノートでは足りない部分での
法的効力
を発揮することができます(特に相続問題)。
その一方で、遺言書のみでの問題点も浮き彫りになってきているため、結局は本人を含めた関係者との
コミュニケーション
がとても大切になってきます。
エンディングノートの作成と遺言書の作成を通じて、何より望むのは
本人が安心して旅立つことができるようにする
ことだと思います。
この『終活』シリーズを通じて、自分自身あるいは身近な人と『終活』について話をしてみて、これからの人生の過ごし方について少し考えてみてはいかがでしょうか。
皆さんの貴重なご意見・ご感想、大変参考になりますので、お気軽にコメントなどいただけると嬉しいです。
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