こんにちは。広島の作業療法士の川本健太郎です。
いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
シリーズ『終活』では人生の終わりに向けて取り組むことについてお伝えしています。
『終活』シリーズの第6回目の今回は、『終活で揺れるお墓のあり方』についてお伝えします。
目次
変わりつつある『お墓』のかたち
少し前までは、多くの人たちにとっては、『家』とともに守らなければならないものとして
先祖代々のお墓
親の代からのお墓
がありました。
しかしながら時代とともに
「先祖代々からのお墓を守ってちょうだいね」
(´人`願)
と言われていた世代から、今や
「先祖代々のお墓や親の代からのお墓にこだわらない」
( ̄人 ̄)コダワラナイ…
という世代に考え方が変わってきています。
何故でしょうか?
1.多様化するお墓の形態
墓地や寺院にこだわらず
樹木葬
桜葬
海葬(海洋散骨)
宇宙葬
海外葬(例えばハワイ葬)
など、近年では様々な形態での埋葬法が認められてきています。
「あの桜の木が咲く頃に来て欲しい」
(○´エ`)人
「この海のどこかに私は居ると思って欲しい」
(´人д`)
「辛気臭いお寺よりも華やいだ場所がいい」
(。´・_・`。)。oO
「空の彼方からいつも見守っていたい」
(人’v`*)
「私の好きなハワイの地で眠りたい」
( ̄人 ̄)ネガワクバ…
といった、本人や家族の思いを形にできる場所を『お墓』とみなして、その場所を心の拠り所とするご家族も増えてきています。
こうした埋葬法を取り入れているのは
民営墓園
民営の葬儀社
が多く、宗派を問わずに受け入れをしているところが多いです。
一見するとロマンティックではありますが、墓地や寺院にこだわらない方法をとったためのトラブルも散見されます。
例えば、樹木葬にしたとして、樹木は風水害などで痛む可能性があり、また、定期的なお手入れをしないとすぐに枯れてしまいます。
枯れ木の下にお墓って、寂しくないですか・・・?
海葬にして海に散骨したのはいいけど、いつでも行ける場所でない可能性もあり、散骨した場所にブイ(目印)のようなものを浮かべておくことも、場所によっては許可が必要です。
そして、親戚や知人が
お参りに来たい
と言ってきた時に、海葬や宇宙葬だと
関係者の案内がないとどこで手を合わせたらいいのか分からない
という問題も生じています。
また、海外葬であれば、現地まで足を運ぶ必要もあります※1
※1.最近ではネットでのお墓参りなどで対応している所もあります。
いずれの埋葬を行ったとしても、墓園を管理している管理会社や管轄寺院による
管理人や案内人
がつくことも増えていますが、本人・家族の思いを汲むだけではまだ十分に整備されていないことが多いのも実情です。
こうしたトラブルを未然に防ぐためには
きちんとした管理をしてくれるか(清掃、花のお供えなど)
意向にそった供養方法であるか(宗派など)
料金体系は明確化しているか(追加料金の発生も含めて)
永代供養など供養の期限をどのようにしているか
名義変更などがあった場合の対応方法
埋葬場所を変更したい時の手続き方法
といったことを細かく聞いて、納得の上で埋葬することを選ぶ必要があります。
2.檀家(だんか)離れ・寺離れが深刻化
これまでは、先祖代々のお墓や親の世代の墓は、お墓を管理しているお寺と契約を結び
永代供養料
年間管理費
法要ごとの御礼
などを支払って管理してもらう
檀家制度(だんかせいど)
が当たり前でした(真言宗や仏教の他宗派では檀家ではなく『信徒』と呼んでいるところもあります)。
しかし、この檀家制度は現代になって
「なんでお墓の管理だけでそんなにお金を出さないといけないの?」
ヘ( ・_ ・)ナンデ?
「お墓以外のお寺の建て替えになんでお金を出さないといけないの?」
( ゚д゚c)ナンデ
「なんでお坊さんにそんなにお金を渡す必要があるの?」
( ´∀`)Σ⊂(゚Д゚ )ナンデヤ?
といった疑問やお金の負担を苦に思っている人が増え始めているのも事実です。
また、祖父母世代、親世代、子供世代、孫世代の家族がみんなバラバラの所に住む
核家族化
が進んだことで、そもそもお墓のあるお寺から物理的に遠い状況にある中で、檀家寺のために時間とお金を使うことを嫌がり、その結果
檀家離れ・寺離れが深刻化
しているのが現状です。
その結果、すでにあるお墓を撤去して更地にして、納骨した遺骨を他の供養方法に変えるという
墓じまい(改葬:かいそう)
が進んできています(下図参照)。
実際に2007年度の改葬数は73,924件であるのに対し2016年度の改葬数は97,317件で、比率にして
132%増
となっています。
<資料参照:散骨粉骨代行サービスINORI>
これは単に檀家制度・檀家寺が嫌になったから墓じまい(改葬)をするという理由だけではなく
陸の孤島のような場所にあるお墓
震災や津波の影響を受ける可能性のあるお墓
足が不自由な人などが訪れることができないような場所にあるお墓
といった、そのままにしておくことで却ってご先祖様に迷惑をかけてしまうことを理由に、埋葬場所を変えるということも墓じまいには含まれていることは認識しておいてください。
いずれにせよ、今まで当たり前であった檀家制度でのお墓の管理は急速な勢いで変わりつつあるのは事実だと思います。
3.お寺が倒産している時代
前出の檀家離れ・寺離れが深刻化してくるとともに、お寺そのものの
後継者不足
も深刻になってきています。
現在、日本には
約77,000件の仏教寺院
があり、これは全国のコンビニエンスストアの数(約50,000件)よりも約27,000件以上も多いことになります(下図参照)。
これに神道系、キリスト教系、その他の宗教の寺院を合わせると
約18万件
の宗教関連施設があります。
そして仏教系のお寺に関しては、全国約77,000ヶ寺の内
既に住職が居ない無住寺院が20,000ヶ寺以上
宗教活動を停止した不活動寺院は2,000ヶ寺以上
にものぼり、25年後にはさらに
3割から4割の寺が消える
と言われています。
<参考出典:『寺院消滅』 鵜飼秀徳(日経BP)より>
こうした問題のほとんどが、檀家離れ・寺離れとともに、寺院を継いだからといって
生活の保障がない
ことや、地方を中心にお寺のある地域が過疎化していき
そもそも寺を支えてきた地域住民がどんどん減っていくこと
もまた、後継者のなり手がおらず、寺院がどんどん無くなっている(廃寺、寺の断絶)ことを加速させているようです。
寺院とのかかわり
お墓の形態が多様化し、檀家離れ・寺離れが加速し、寺がどんどん無くなっているとは言っても、なんらかの形で供養は続けたいと思っている人が多いのも事実です。
第一生命が調査した『寺院とのかかわり〜寺院の今日的役割とは』では
寺院を訪れる目的は
お墓参り(62.8%)
観光・旅行(33.7%)
法事(30.5%)
お寺の行事(講演会、縁日、写経、音楽会など 14.5%)
とお墓参りが最も多いという結果でした。
また、お墓の継承に関して
お墓の跡継ぎがおらず、お墓の管理や供養ができなくなる
ことを心配している世代としては
60代(44.8%)
50代(60.1%)
40代(65.1%)
と40代が最も心配しているという結果となりました。
その上で、寺院はどのような活動をすべきかについての問いに対しては
死者・先祖の供養(78.2%)
仏教の教えを広める活動(48.8%)
介護や死の看取り、老い・病気・死に関する取り組み(29.8%)
と、やはり寺院での供養を望む人が約8割近く存在することが示唆されています。
先ほどお伝えした檀家制度を取り入れている寺院の多くは
寺院墓地
を所有しており、本人やご家族が納得しているのであれば
永代供養料
年間管理費
法要ごとの御礼
などを支払うことできちんと管理してもらうことができるところがほとんどです。
最近では、檀家離れ・寺離れへの認識は各寺院でも強くなっているので、墓じまいや檀家離れ・寺離れをする前に
まずは現在のお墓を管理しているところとしっかり話し合いをする
こともまた、終活でお墓を変更することを考えている場合には、とても大切なことだと思います。
まとめ
今回は『終活』シリーズの第6回目として、『終活で揺れるお墓のあり方』についてお伝えしました。
お墓のかたちは変わりつつありますが
故人を偲(しの)び、故人の存在を確認する
そのための『心の拠り所』としてお墓(あるいはその場所)の存在は重要であることに変わりない
しかし時代とともに簡素化・便利化・多様化が進められ
経済的負担や後継者不足を理由としての『墓じまい』が深刻化している
ことには変わりがないことから
お墓のことは終活において最も重要な案件になってきている
(´・ω・`)ゞムツカシイ…
と言えるのではないでしょうか。
この『終活』シリーズを通じて、自分自身あるいは身近な人と『終活』について話をしてみて、これからの人生の過ごし方について少し考えてみてはいかがでしょうか。
皆さんの貴重なご意見・ご感想、大変参考になりますので、お気軽にコメントなどいただけると嬉しいです。
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